ロジスティクス物流業界が直面する「2024年問題」への具体的な”処方箋”を探るオンラインイベントが、13日、LOGISTICS TODAY主催で開催された。輸送、施設、拠点という物流全体の中での物流施設の新たな役割と、拠点再編に向けた先行企業の実践的な取り組みが明らかにされた。
冒頭のセッションでは、CBREの羽鳥靖隆氏が登壇。物流拠点選定のポイントとして、立地の重要性を強調した。「物流24年問題では輸送力確保が大きなテーマとなっており、拠点は輸送効率を左右する要素。インターチェンジや貨物駅直結型施設が拡大している」と指摘。羽鳥氏はまた、人手不足対応としての施設設備も重要視されるとし、「トラック予約受付システムや作業効率化のための空調・照明管理が差別化要因となる」と語った。
実際、CBREの調査結果によると、物流企業は輸送スケジュールの再編や配送頻度の削減を積極的に進めていることが明らかになった。「コールドチェーンや危険物倉庫への対応、季節波動に柔軟な施設設計が求められている。物流不動産は今後ますます高機能化が進む」と予測する。

▲(左から)LOGISTICS TODAYの鶴岡昇平とCBREの羽鳥靖隆氏
続くセッションでは、センコーの殿村英彦氏が登壇。ダブル連結トラックを活用した物流効率化事例を披露した。殿村氏によると、ダブル連結トラックは従来の大型トラック2台分の輸送を1名のドライバーで可能にし、「ドライバーの労働時間を年間約40%削減できる」と強調。また、CO2排出量も大幅に削減されることから、物流の脱炭素化推進に貢献するという。

▲(左から)LOGISTICS TODAY編集長の赤澤裕介、センコーの殿村英彦氏
センコーはさらに、トラック中継拠点「TSUNAGU STATION」を全国展開すると発表した。中継輸送による効率化を目指し、既に浜松や新富士に設置済みで、来年度は福岡や東広島、福島にも開設予定。「物流バス」と名付けられたサービスとして、共同配送のプラットフォーム構築にも積極的だ。
最後のセッションでは、野村不動産の峰岸健太郎氏、安藤圭汰氏が「Landport」シリーズの最新物流施設を紹介。中でも愛知県の「Landport東海大府」は、7万5000坪の大規模物流施設で、インターからのアクセスに優れ、中継輸送拠点としての高いポテンシャルを有していると説明。「施設内に危険物倉庫や特別高圧電源を整備し、電力消費の大きい自動化設備にも対応可能」とした。
▲左から野村不動産 都市開発第二事業本部の安藤 圭汰氏、野村不動産 都市開発第二事業本部の峰岸 健太郎氏
野村不動産はこのほか、横浜杉田などにも物流施設を開発しており、2024年問題への具体的なソリューションを積極的に提案している。さらに、免震構造や非常用発電機を備えることでBCP対策にも対応。労働環境を充実させるカフェテリアや無人コンビニ、シャワールームなど福利厚生設備も整えている。
今回のイベントを通じ、物流業界が直面する課題に対して、物流施設や輸送手段の見直しと拡充が必要不可欠であることが改めて示された。施設選定の際には、輸送効率や働きやすさ、BCP対応能力など、総合的な視点での評価が求められる時代となっている。各企業がどのような施設やサービスを選択し、具体的な成果を挙げるのか。今後の動向が注目される。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com