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ヤマトHD、長期計画策定、19年に宅急便シェア50%目指す

2011年1月28日 (金)

話題ヤマトホールディングスは28日、2019年度までの長期経営計画「DAN-TOTSU2019」、11年度から13年度での中期経営計画「DAN-TOTSU3か年計画HOP」を策定したと発表した。

 

2019年に創業100周年を迎えるヤマトグループは、「アジアナンバーワンの流通・生活支援ソリューションプロバイダー」として、同年までにソリューション力、配送品質、顧客満足ともに「アジアでダントツの地位を確立する」ことを目指す。

 

また、13年度までの最初の3年間で、積極投資を通じた新たな成長機会の創出に努めつつ、コスト面を含む構造改革を断行し、19年度の目標達成に向けた基盤強化を図る。続く3年間では、新たな成長路線を確かなものとし、最後の3年間で事業の深化を図りながら企業価値を最大化していく計画。次期・中期経営計画の最終年度となる13年度には、連結売上高1兆4400億円、連結営業利益880億円を目指す。

 

ヤマトHDでは、アジアのGDPが2020年に約2000兆円に達し、消費のけん引役となる中間所得層が2010年の11億人から2020年には20億人に増加するなど、今後、物流のボーダーレス化が急速に進展する見込みだとして、「ヤマトグループにとっては、宅急便を含む全ての事業での新たな成長機会の拡大につながる」と強調。国内では高齢化、過疎化など人口構造の急激な変化に伴い、生活者を支援するサービスへのニーズが高まっているため、この分野への対応に力を入れる。

 

長期経営計画
長期経営計画は、アジア市場への展開強化、ノンデリバリー事業の拡大による成長力の加速、国内の「生涯生活支援プラットフォーム」の構築、新たなイノベーションの創出に向けたグループガバナンスの強化を重点分野として掲げ、(1)国内宅急便シェア50%超(2)ノンデリバリー事業の営業利益構成比50%超(3)海外売上比率20%超(4)事業数100事業(5)ROE(自己資本利益率)11%超――といった数値目標を設定。

 

具体的には、世界最大の成長市場となるアジア展開を加速し、展開エリアの拡大と成功モデルの輸出により、各エリアでの事業基盤を確立するとともに、国内の「切実な社会ニーズ」に対応し、ネットスーパーなどにとどまらない新しい「生涯生活支援プラットフォーム」を構築、個人、地域、社会に貢献する新たな市場と成長機会を創造するとした。ノンデリバリー事業の拡大による成長力の加速では、「ラストワンマイルネットワーク」を活かし、「他社には真似のできないオンリーワンの流通ソリューション事業」を創出する。

 

さらに、グループの事業会社が持つ機能を羽田に建設している大規模物流ターミナル「クロノゲート」に結集し、グローバル流通プラットフォームを構築することで、ノンデリバリー事業の成長力を加速する。また、羽田を皮切りに「クロノゲート」ネットワークを順次拡大する。

 

中期経営計画
中期経営計画では、宅急便のイノベーションによる新たな成長機会と原資を獲得するため、クロネコメンバーズの拡大、情報のフルデジタル化、ネットワークの高度化による商品力強化、配達品質向上と、地域での生涯生活支援プラットフォームの確立を推進しつつ、ネットワーク、集配、事務でのコスト構造改革を行うことで、宅急便の成長力を復活させ、13年度までにデリバリー事業の収益率の大幅な向上を目指す。アジアでは、展開エリアの拡大とネットワーク化を推進するとともに、ヤマトホールディングスの下に設立した地域統括会社が国やエリア間の連携を強化することでボーダーレス化に対応する。

 

また、集中投資によりノンデリバリー事業を強化するため、「羽田クロノゲート」を起点とする「Todayショッピングサービス」の海外ネットワーク、日本を含むアジアでのロジスティクスネットワークの再構築などを「クロノゲート・ソリューション」として取り組むとともに、電子マネーを含む「軒先決済」市場の深化、農産物のダイレクト流通を拡大するプラットフォームの構築といった新たな市場創出に向け、ノンデリバリー事業への集中投資を行い、13年度のノンデリバリー事業の営業利益比率を向上させる。

 

財務面では、事業成長のための資金の活用、自己株式の機動的な取得と活用を含めた資本政策を行うことで、ROE8.5%の達成を目指す。IFRSへの対応、グループ全体への事業別管理会計の高度化により、財務ガバナンス、リスクマネジメントを強化する。数値目標としては、連結営業収益1兆4400億円、連結営業利益880億円、営業利益率6.1%、ROE(自己資本利益率)8.5%、宅急便取扱個数国内15億6000万個、海外1億2000万個――を目指す。