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大水、倉庫など舞台に架空取引発覚、損失1.2億円

2011年4月18日 (月)

話題水産物卸の大水は16日、同社元課長が取引先との間で架空の商品を含む循環取引を行っていたことが判明したと発表した。

 

社内調査の結果、不正は営業倉庫などを舞台に2005年頃からサンマやサバの取引で行われ、損害額は総額1億2000万円に上っていることが分かった。同社は今後、第三者による外部調査委員会を立ち上げ、社内調査の検証、類似取引の確認、再発防止策の策定などに取り組む。

 

大水によると、同社東部支社塩干部製品2課の元課長はサンマ、サバの一部取引で05年頃から、「売買損益をよく見せ、営業成績を上げるため」に取引先5社をとの間で循環取引を主導した。

 

循環取引は「大水がA社宛てに売上を計上」→「A社がB社宛てに売上を計上」→「B社が大水宛てに売上を計上(大水がB社から仕入れを計上)」する方式で行われ、A社に当たる取引先が2社、B社に当たる取引先が3社存在していた。

 

当初は現物商品を使って行われていたが、次第に架空在庫を循環させる架空取引が行われるようになり、発覚時には大部分が架空取引になっていたという。

 

架空取引は、大水が仕入れた商品を同社からA社、A社からB社、B社から大水の淳に営業倉庫内で名義変更を行い、B社から大水に名義変更する際に営業倉庫が発行する「名義変更通知書」を基に仕入れを計上することで、1つの商品に対して2回仕入れを計上して架空在庫を計上。その架空在庫を月2回の在庫照合日までにA社に売り上げて循環させていた。

 

同社では仕入れ時に、仕入れ事実を確認するため、営業倉庫が発行する入庫報告書か名義変更通知書を取得して仕入れ伝票との確認を行い、毎月15日と月末日の2回にわたって帳簿在庫と営業倉庫の現物在庫を照合している。

 

しかし、今回の不正取引では「仕入れ時に営業倉庫からの入庫報告書や名義変更通知書が存在し、月2回の在庫照合時にも不一致が出なかったため、長期間にわたる不正取引の存在を発見できなかった」としている。

 

同社はことし2月、内部監査室から「元課長の一部取引で、仕入れ代金の支払決済サイトが取引先との取り決めより短い事象が不規則かつ頻繁に発生している」との指摘を受け、急きょ社内調査チームを立ち上げて元課長に事情聴取を行った結果、「不適切な取引が行われている可能性が高まった」として調査を開始。

 

しかし、同社の帳票だけでは実際の取引と不適切取引の区分が困難であったため、関係各社から帳票を取り寄せ、照合を行った結果、サンマの取引で不適切なケースが判明。その後、顧問弁護士を含む社内調査委員会を立ち上げ、サバ取引でも取引先から帳票を取り寄せて照合するなどの作業を行ったところ、不適切取引が発覚した。

 

社内調査では過年度分を含む損失総額を1億2000万円としているが、今後立ち上げる外部調査委員会の調査結果を待って、具体的な会計処理の内容を決める。