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伊藤忠、子会社で在庫不正43億円、物流体制強化へ

2015年4月17日 (金)

事件・事故伊藤忠商事は17日、子会社の伊藤忠ホームファッションで社員が架空在庫と在庫の循環取引などによる不正処理を行っていたことが判明した、と発表した。不正は子会社の月次決算や在庫量分析をきっかけに発覚したもので、不正処理に伴う損失の総額は43億円に達する。

不正処理は、伊藤忠ホームファッションの営業担当者が独断で自身が担当した取引の損失を隠蔽するため、自社内で伝票を偽造するなどして架空在庫を計上。

さらに、増加した在庫を処理するため、2010年度頃から取引先に依頼したり、取引先と結託したりして実在する在庫、架空在庫をともに伊藤忠ホームファッションが買い戻す前提で売却を行う、いわゆる循環取引を開始した。

この循環取引で取引先がそれぞれ利益を得るよう価格が設定されていたため、伊藤忠ホームファッションが買い戻す際には在庫の価格が上昇し、損害額がさらに拡大する結果となった。

また、伊藤忠ホームファッションの営業担当者は、不正取引で増え在庫を減らすため、在庫の返品処理、買戻し、仕入取引と買掛金の相殺などの隠蔽会計処理を行っていたほか、「仕入諸掛」を適切に原価計上せず、関係ない製品在庫や架空の製品在庫の簿価に振り替えることで、在庫の簿価の水増しが行われていたことも発覚した。

伊藤忠ホームファッションで不正取引が長期間にわたって発覚しなかった理由として、伊藤忠商事は「監査体制の仕組みは構築されていたが、不正取引は一部取引先の資金不足の穴埋めにも活用されており、これらと結託した営業担当者が用意周到な隠蔽工作を行った」ことで発見が困難になったと説明、実地棚卸などの在庫管理手法に厳密さを欠いていたことも認めた。

特別調査委員会の提言を受け、今後は営業から独立した部署のモニタリングの実効性を向上させるなど、子会社の決算プロセスの厳格化を進めるとともに、在庫実査の厳格化、在庫管理システムの導入、厳格な運用で物流・在庫管理体制を強化する。