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全ト協が運送会社の経営分析

運送事業者の営業赤字が拡大、コスト上昇吸収できず

2015年3月23日 (月)

ロジスティクス運送事業者の営業赤字が拡大、コスト上昇吸収できず全日本トラック協会が23日に発表した、全国2188のトラック運送事業者の版経営分析報告書(2013年度版)によると、63%(1384社)が営業赤字となっていることが分かった。特に車両10台以下(692社)では66%(469社)が営業赤字を計上。物流の活発化によって売上高が拡大する一方、コストアップがそれ以上の経営圧迫要因となって売上高営業利益率は2.3ポイント悪化した。

貨物運送事業収入は1社平均2億234万2000円で、前年度に比べて12.3%増加し、7年連続減少に歯止めがかかって上昇に転じた。しかし、燃料価格の上昇で営業利益率は2.3P低下、さらに赤字幅を拡大させ、7年連続の赤字となった。

輸送量が増加し、運賃単価の改善もみられたものの、燃料価格の一段の上昇圧力によるコストアップ分を吸収することができず、営業赤字幅を拡大する結果となったことについて、全ト協は「このような厳しい事業環境に置かれ、多くの中小運送事業者は燃料上昇分を運賃・料金に転嫁できておらず、仕事が増加しても、さらに赤字幅を拡大した」と分析している。

■売上高、車両保有台数にかかわらず増加
13年度の兼業分を含む売上高(1社平均)は2億375万円と、前年度の1億8504万円に比べて10.1%の増収となった。貨物運送事業収入も2億234万2000円と12.3%増加。車両規模別に見ても規模にかかわらず増加した。

■原価に占める燃料費の割合が19.9%→21%に上昇
13年度の売上高営業利益率はマイナス1.9%と7年連続して営業赤字となり、貨物運送事業に限定した営業利益率もマイナス2.3%と、前年度のマイナス2.1%からさらに悪化した。すべての規模で赤字幅が拡大しており、荷主、元請から燃料上昇分の転嫁が受けられないケースが多く、全ト協は「燃料費負担の増大は事業経営に極めて深刻な影響を与えている」と指摘している。

運送事業者の営業赤字が拡大、コスト上昇吸収できず

貨物運送事業の1社平均の営業損失は461万円で、前年度の営業損失369万9000円に比べてマイナス幅が拡大した。こうした状況が続くことで「燃料価格の上昇時には、燃料価格の上昇分を運賃に転嫁しなければ、業界そのものが疲弊し今後も必要なドライバー人材が確保できないなど、将来の見通しは極めて深刻」(全ト協)になることが懸念されている。

売上高は増加に転じたものの、運送原価の燃料油脂費比率は19.9%から21%に増加し、「事業者の経営努力が及ばない燃料価格の上昇」が営業利益率改善の大きな足かせになっていることをうかがわせた。