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再び営業赤字へ転落、17年度トラック運送業

2019年4月1日 (月)

話題全日本トラック協会がこのほどまとめたトラック運送事業者の経営分析報告書(2017年度決算版)によると、「貨物運送事業者」の17年度売上高は1社平均で2億1963万3000円となり、16年度から2.8%増加した。輸送トン数は平均7万3800トンで4.6%増加。15年度との比較では、8.5%の伸びを示した。

しかし、燃料・人材・高速道路利用などのコストが増大した影響を受け、営業損益は前年度の黒字から57万1000円の赤字へ転じた。経常利益は減少したものの、黒字圏を堅持。業界では運賃改善が進展し、売上高は改善傾向を維持したものの、コスト増による損益の圧迫が増収分を上回る水準となったのが反映された。

損益の悪化要因について全ト協は、燃料費の増加、賃金引き上げによる人件費増加、傭車運賃単価の引き上げ、長時間労働の抑制・稼働率向上に向けた高速道路利用の拡大――を挙げた。

これにより、営業損益段階で黒字事業者の割合は50%とほぼ半数まで減少し、「車両10台以下」の事業者に限ると、55%が営業赤字に陥った。経常利益は平均141万1000円の黒字で、前年度から52万円減少した。10台未満と11-20台の区分で悪化傾向を示し、21-50台は横ばい、51台以上は改善傾向となった。

(以下引用処理)
荷主取引の比率が大きい車両規模の大きい事業者では運賃などの引き上げ交渉に成功し、売上高が拡大。しかし一方で、元請からの受注比率が相対的に大きい中小事業者では、対元請との運賃などの引上げ交渉に難航する傾向にあり、売上高の拡大につながっていないケースが多く、コストアップの影響を大きく受ける状況にあると考察される。(全日本トラック協会「経営分析報告書‐2017年度決算版‐」より)