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矢野経研調べ

低温食品物流、海外で日系品質の需要拡大

2015年11月25日 (水)

ロジスティクス矢野経済研究所は25日、低温食品物流を対象とした市場調査の結果を発表した。調査結果によると、2014年度の低温食品物流市場は13年度から3.8%拡大して1兆3600億円となった。この結果に対し、同社は「国内の貨物輸送需要は長期的に頭打ち傾向が想定されるものの、低温食品物流の市場規模は拡大傾向にある」との見方を示した。

■低温食品物流市場規模の推移と予測(矢野経済研究所調べ)

(矢野経済研究所調べ)
低温食品物流市場が拡大している要因として、同社は「総合スーパー(GMS)や食品スーパー、コンビニエンスストア(CVS)などで低温食品の取扱い規模が拡大している」「低温物流の高度化に伴い給食・病院食・宅配食など付加価値の高い低温食品に対する需要が高まっている」と指摘。さらに、「ドライバー不足に伴う物流運賃の高騰」が市場規模を押し上げる一因になっていると分析した。

また、経済成長が続くアジア圏で低温食品に対する需要が拡大しており、「このエリアに進出する国内外の流通事業者から高度な低温物流品質を持つ日系物流事業者への物流業務委託が増加している」と、日本の低温物流に対する国際的な需要の高まりも要因に挙げた。

今後は主にアジア圏を中心に海外需要がさらに拡大する見通しで、15年度の低温食品物流市場規模は1兆4100億円(見込み)、16年度は1兆4600億円、17年度には1兆5500億円と拡大傾向を維持すると予測した。

日系事業者が高い注目を集める要因としては、(1)誤配・遅配・破損の低減といった物流3品質を重視した高水準の物流サービス(2)断熱性能や保護性能の高い梱包資材の利用(3)配送先でのドライバーの納品態度(4)匂い移りをはじめ商品ごとの特性に対するさまざまな取扱いノウハウ(5)共同配送など高効率な輸配送の仕組みづくり――が「世界でも最高レベルの水準」となっていると解説している。

一方で、アジア圏の物流については、車両や物流センターなどの物流インフラが定温度帯、冷蔵温度帯、冷凍温度帯といったほかの温度帯の保管・配送に対応していないなど、「未整備な物流環境が多い」と指摘。また、現地作業人員の実務経験が十分でないことも課題に挙げた。