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ミマキエンジが物流管理部の所属変更、1年で3回目

2016年5月18日 (水)

荷主コンピューター周辺機器メーカーのミマキエンジニアリングは、21日付で営業本部傘下の物流管理部を生産本部へ移管する、と発表した。実は同社が物流管理部の所属を移すのは、昨年以来3回目で、半年ごとに営業本部と生産本部の間を行き来している。業務用の大型インクジェットプリンターなどを製造する同社で何が起こっているのか。

■好決算のウラで在庫水準上昇、連動目指し生産主導体制へ(1回目)
メーカー物流部門として在庫の適正化という命題を背負った同社の物流管理部は、2015年に入った時点で営業本部に所属していた。同年3月期の決算は売上が15.5%増、営業利益も51.9%増と好決算だったが、これは欧州・新興国の顕著な伸びと、対ドル・対ユーロで円安が進行し、7.4億円もの営業利益を押上げる効果がもたらされた結果だった。

その内側では物流費、販売促進費、人件費が増加し、特に製品在庫が1年で59億円増え、原材料・貯蔵品も15億円増加。好決算のウラで、在庫管理の適正化、物流の改革が急務となっていた。

こうした経緯から、同社は15年3月30日、「生産と物流プロセスの連動性を高める」として、物流管理部を営業本部から生産本部へ移管すると発表。社内プロジェクトとして在庫の削減に取り組んだ結果、15年9月中間決算では、商品・製品在庫(たな卸資産)が4億900万円のマイナス、原材料・貯蔵品も4億2900万円のマイナスと、「ほぼ適正水準まで削減した」。

■在庫削減進展、海外販売強化へ営業主導の物流再構築(2回目)
地域や機種によって差はあるものの、15年9月中間決算時点では売上高が7.9%の増収と堅調に推移しており、特に日本では下期以降も安定成長が見込める状態。北米でも21.5%増と日本を上回る売上の伸びを示していたが、その要因は主に円安効果によるもので、同社は「販売強化に取り組んでいるが、効果が限定的」との見方を強めていた。より販売活動の効果を高めるためには、製品供給を円滑にする、つまり営業主導で物流を再構築する必要がある、との判断に傾いたものとみられる。

そこで同社は同年10月21日、「グローバル物流体制の再構築・強化を図るため」という理由で、再び営業本部へ戻すことを発表。前回の移管後に在庫水準の適正化が進んだことに加え、販売を伸ばすために、営業主導で円滑なグローバル物流体制を構築するとして、前回の移管からわずか半年ながら、物流管理部は再び営業本部の傘下へ戻ることとなった。

それから半年。

同社は常務取締役だった池田和明氏が4月1日付で社長に就任し、小林久之前社長は、代表権のない取締役に就いた。池田氏は、業務用インクジェットプリンターメーカーとしての同社の事業基盤をつくった池田明会長(元社長)の長男で、社長就任の前は営業本部長を務めていた。

■そして3回目、再び営業本部から生産本部へ
池田新社長が陣頭指揮を執ることとなった同社は5月17日、物流管理部を営業本部から生産本部へ移管すると発表。わずか1年で3回目となる物流管理部の所属先変更に、同社は「生産と物流の連動性を高めるため」と説明する。1年前に同社が物流管理部を生産本部へ移管した際には、在庫水準が高まり、生産と物流が連動して在庫削減に取り組む必要に迫られるという背景があったが今回は…。

同社が5月12日に発表した16年3月期決算は、売上高が2.6%増の478億4000万円、営業利益は28.9%のマイナスとなる31億9400万円にとどまった。その理由のひとつとして、同社は「国内外における販路拡大と地域密着の販売・保守サービス体制の強化を図るための人件費、物流費、販売促進費などが増加した」ことを挙げるが、製品在庫・原材料・貯蔵品の資産額をみると、1年前に比べて20億円程度減少している。

シンプルな流れだけを追えば、「社長が交代し、業績が悪化」したわけだが、その要因のひとつが物流管理部を営業本部へ移管したため、ということなのか。

足下の事業環境は、物流業界の人手不足と運賃修復の動きが続き、物流費が上昇しやすい状態にあるといえる。そういう観点から考えれば、生産と物流の連動によって物流費をコントロールするという経営判断もありえる選択だろう。文字通り二転三転した物流管理部だが、今回はどう位置付けられるのか。同社は5月23日に決算説明会を開く。