行政・団体国土交通省は2日、アドバイザリー会議の議論を踏まえて「支援物資物流システムの基本的な考え方」を取りまとめ、報告書を公表した。
報告書では、支援物資物流における主な問題点を洗い出し、アドバイザリー会議を開いて課題を整理した上で、支援物資物流の主要な改善策を柱とする「基本的な考え方」を策定した。
国交省では今後、大規模災害が懸念されている地域から、ブロックごとに国、地方自治体、物流事業者など関係者による協議会を設置し、今後の具体的な支援物資物流のあり方を取りまとめる。この取組については、今年度補正予算で措置するとともに、来年度予算でも要求中。
ブロックごとに取りまとめる「支援物資物流のあり方」では、発災時に取り組むべき事項、役割分担の整理、支援物資集積拠点の選定などを明確にし、災害時に物流施設の機能維持を図るための投資として、非常用発電・通信設備の整備費用の一部を補助する。
■支援物資物流の主な問題点
物流のノウハウを持つ者が不在 | 地方公共団体の業務に早期には物流事業者・団体が参加していなかったことなどにより、円滑な輸送や物資集積拠点運営などに支障。 |
情報の途絶 | 被災地関係情報、物資関係情報などの把握が困難。 |
関係者間の役割分担 | 市町村自身の被災などにより国・県・市町村の間の連携が十分にはできなかった。 |
インフラの損壊 | 円滑な支援物資の輸送に支障。 |
燃料油の不足 | 東日本を中心に燃料油不足が発生。支援物資輸送車両の燃料も不足。 |
物資集積拠点の機能低下 | 大量の支援物資が送り込まれたことから、物資集積拠点の機能が低下。 |
時間の変化 | 避難生活が長期化する中で、ニーズに合わない支援物資が在庫として滞留。 |
■支援物資物流の主要改善策
物流事業者の能力を最大限活用 | 早期の段階から国・地方公共団体が実施するオペレーションに物流事業者、団体が参加するようにし、その能力を最大限発揮できるようにする。 |
災害時協力協定の内容の見直し、協定締結の推進 | 現行の協定内容について不足がないか確認し、必要に応じて内容の見直し、追加の協定締結を行う。 |
情報通信手段の確保 | 避難所、行政機関施設、物資集積拠点などで情報通信手段が途絶しないよう、衛星通信機器や自家発電機器を配備。 |
物資発注様式の統一 | 必要な情報項目や単位を整理し、発注様式を統一することにより、物資に関する情報を円滑に交換できるようにする。 |
訓練の実施など事前の備えの徹底 | 関係者が参加する訓練を実施するなどにより、体制の点検、役割分担や問題点の把握などについて平時からチェックする。 |
物資集積拠点の選定 | 拠点運営では、物流事業者の能力を最大限発揮できるようにするとともに、拠点として備えるべき機能や配置のあり方について検討した上で、リストアップしておく。 |
指定公共機関などの追加 | 災害対策基本法上の指定公共機関・指定地方公共機関について、必要に応じて物流事業者、団体を新たに追加することを求める。 |
■報告書の詳細は下記URLを参照。
http://www.mlit.go.jp/common/000184634.pdf