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引越社の不当労働行為認定、全従業員宅へ謝罪文送付命令

2017年8月23日 (水)

事件・事故東京都労働委員会は23日、「アリさんマーク」で知られる引越社グループに対し、労働組合に加入した従業員男性に「シュレッダー係」への配置転換を命じた上、懲戒解雇処分を行い、解雇理由を「罪状」と記載して社内に掲示していたなどの会社側の対応が不当労働行為にあたるとして、「不当労働行為に認定されたこと」を社内報に掲載し、全従業員の自宅に送付するよう命じた。

都労委は、会社側が組合の影響力の拡大を危惧して脱退勧奨を行ったこと、引越社関東が男性をシュレッダー係に配置転換し、その後の懲戒解雇処分についても解雇理由を社内に掲示し、その経緯を社内報に掲載したこと――などが「不利益取り扱い」や「支配介入」にあたると認定。また、引越社関東が団体交渉に応じなかったことなどの対応についても「正当な理由のない団体交渉拒否に該当する」との判断を示した。

男性をシュレッダー係に配置転換したことについて、引越社関東は「シュレッダー係へ配転しても、賃金や労働時間を含めた勤務条件に変更がなく、不利益取り扱いではない」と主張したが、都労委は、男性が一時期は営業専任職として引越社関東の中でトップの営業成績を挙げていたにもかかわらず、「正社員としてただ一人、単純業務で、勤怠不良などとされた従業員が配転されているシュレッダー係に配属されたことは、不利益な取り扱いだといえる」として、会社側の主張を退けた。

男性と引越社関東はすでに裁判で和解が成立し、会社は男性に謝罪、営業専任職への復職を果たし、「罪状」などと男性に対する強い嫌悪感をにじませた社内報への懲戒解雇理由の記載や社内掲示についても会社による謝罪文の社内掲示が行われているが、会社側の対応が不十分だとして「本件の救済としては、社内報へ掲載し、会社らの従業員の自宅に送付することを命ずるのが相当」と判断した。