調査・データDHLとIBMは21日、「AI(人工知能)がロジスティクスの進展に寄与する」との評価結果を公表した。金融や不動産などの分野で利用が進むAIの成熟化が「目覚ましい勢い」で進み、物流業界でも対話型対応や発注不要で荷物が届くといった例を挙げている。
両社が共同で発表した報告書「ロジスティクスにおけるAI」は、ロジスティクスでのAIの将来性を評価、新たな次元のインテリジェントロジスティクス資産を創出し、業務のパラダイムシフトを引き起こすなどの業界変革のために「AIはどう活用されるべきか」を明らかにしたものだ。
共同報告書では「AIの性能、利用しやすさ、コストが以前よりも格段に向上した」という前提に立ち、「サプライチェーン各社がAIの主要な利点や機会をどう活用できるか」をまとめた。
両社はAIを用いて物流で何ができるといっているのか。
報告書は「ロジスティクス業界は、AIの助けを借りることによって受動的オペレーティングモデルから能動的・予測的モデルへのパラダイムシフトが可能になり、その結果、バックオフィスやオペレーション・対顧客業務で大幅なコストをかけずにより的確なインサイトを導き出すことができる」と主張する。
例えば、AI技術を使うことで「最新画像認識によって積荷や輸送状況を追跡し、自律的に一連の輸送を行うこと」や「世界の輸送量の変動を事前に予測することもできる」という。
有益なアウトプットだが、こうした状況が生まれるには網羅的に情報が入力される仕組みを伴わなければならないだろう。また、原資はどこから引っ張ってくるのだろうか。
IBMの貨物・ロジスティクス・鉄道担当者グローバルインダストリーリーダー、キースディルクス氏は「テクノロジーはロジスティクス業界の従来のバリューチェーンを様変わりさせ、エコシステムは企業や業界、経済の姿を作り変えている。AIを基幹プロセスで活用することによって、企業は旧式アプリケーションシステムの刷新という重要な戦略的成長課題に資金を注ぐことができる。その結果、既存の資産や基盤をより効率的に活用でき、人員には技術や能力を高める時間的余裕が生まれる」との見解を示す。
報告書では「物流企業がAIをいかに理解し、グローバルサプライチェーン内に組み込むか」について、さまざまな視点や事例を紹介している。
■「ロジスティクスでのAI」トレンドレポート(無料ダウンロード)
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