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日中韓の造船所比較、日本の「品質」評価95%

2012年5月21日 (月)

話題日本海事センターは18日、「我が国外航海運業界から見た我が国造船業の現状と課題に関する調査報告書」をまとめ、結果を公表した。回答事業者のほぼ9割が、日中韓3か国の造船所を比較して「品質(技術力)」「納期の確実性」「アフターサービス」の面で日本の造船所が優位にあると評価し、特に「品質(技術力)」の面での優位性を評価した事業者は全体の95%に達したことが分かった。

 

「船価」「船台規模(ロット発注への対応力)」の面で日本の造船所が優位にあると回答した事業者は3%、9%にとどまったが、回答事業者の89%は「将来的にも日本国内に造船所が存在する必要はある」と回答し、今後の外航船の発注先についても、日本の造船所を検討したいとの回答がもっとも多く、全隻数の8割を占めた。

 

業務提携・事業統合の推進については、推進する必要があるとの回答は全体の39%にとどまり、「どちらともいえない」との回答が全体の50%ともっとも多かった。

 

鋼材・資機材の海外調達は、増加させる必要があるとの回答が全体の55%ともっとも多かった。一方、「どちらともいえない」との回答も全体の42%を占め、品質や安定供給の面での懸念が指摘された。

 

海外生産の展開は、その必要があるとの回答は全体の58%ともっとも多く、進出地域としてはアジア地域と回答した事業者が多かった。一方、品質の低下や技術流出、国内造船所の弱体化がもたらされるとの懸念も指摘された。

 

イノベーションの推進については、エネルギー・環境分野での取り組みを求める回答がもっとも多く見られ、そのための造船業界内での連携、業界横断的な連携が重要と指摘された。

 

建造資金の調達は、船舶投資ファンド、政府系金融機関の活用、民間金融機関による融資サービスの改善、税制上の措置などが指摘された。

 

アンケート調査は国内の外航海運事業者196社に対し、2011年12月に調査票を配布し、同月中に記名方式で回答を得た。回答事業者数は36社(回答率18%)。