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日本郵船、機関事故を防ぐ油中水分アラーム開発

2018年11月19日 (月)

ロジスティクス日本郵船は16日、ビッグデータ活用の取り組みの一つとして、MTIと共同で、潤滑油中に含まれる水分量の異常をリアルタイムに検知できる高度アラームシステムを開発し、同社運航船「原町丸」の主機に搭載したと発表した。潤滑油中の水分量に起因する主機トラブルを未然に防ぐことで、機関予防保全の高度化を目指す。

▲「原町丸」

船舶のエンジンを安定稼働させるためには潤滑油の適正な品質・性状の管理が重要となっており、特にエンジン冷却水の漏洩や油清浄機などの関連機器の不具合により潤滑油中に水分が多く混入すると軸受損傷などの大きな事故につながる可能性がある。

これまでは船上で潤滑油を定期的にサンプリングし、陸上分析機関で潤滑油中の水分量を計測していたためリアルタイムで混入水分量を把握することが難しかった。そこで、潤滑油中の相対水分量を監視できるセンサーをトライアル船1隻の主機に取り付け、1年間データを取得。同時に機関室内の温度や湿度、主機回転数といった周囲環境データを同社グループが開発した情報共有装置「SIMS」で収集し、相対水分量と機関室内の温度・湿度には強い相関関係があることを確認し、その相関性を活用した高度アラームの開発に至った。

センサーで計測した実際の相対水分量と機関室内の温度・湿度の影響を考慮して推定した適正な相対水分量の差が許容範囲を超えると、水分混入の可能性があると判断しアラームを発する。一定値ではなく、周囲環境によってアラームを発する値が変化する高度アラームによって、より早期に異常を発見することが可能となる。

高度な油中水分アラームシステムを実船に搭載し、継続してモニタリングすることで潤滑油中の水分量に起因する異常を早期に検知し安全運航を徹底する。また主機のほか発電機への実装に向けて、センサーからのデータの収集や分析を行い、新たに発電機向けの高度アラームシステムの開発を目指す。