イベント大和ハウス工業は9日、傘下のダイワロジテックとYRPユビキタス・ネットワーキング研究所が開催した物流ロボットプログラミングコンテストの入賞作品を発表した。
最優秀賞に輝いたのは、花野博司氏による「swarm」(スウォーム)。このプログラムは、ロボット同士が自律的に協調しながら動作するというコンセプトで開発されたもので、出荷速度と入出荷の成功率が、全応募作品の中で1位となった。
優秀賞には、荒川正幹氏の「倉庫内を巡回する順路を設定し、運搬ロボットが巡回する」という「くるくる」と名付けられたプログラムと、「倉庫を30のエリアに分け、それぞれを担当するロボットを配置する」という、井上航氏による「robot_solver」(ロボットソルバー)がそれぞれ選ばれた。
コンテストは、ダイワロジテックグループのフレームワークスが運営する物流施設を舞台に、入出荷の実績データなど、実際のデータを公開して、物流ロボットを最適に制御するアルゴリズムを競うもので、入出荷の成功率を高く保ち、さらに出荷に要する時間やロボットの移動時間を最小化できているかが、審査基準となった。
極端な話、出荷速度のトップを目指すなら、とにかく大量のロボットを投入し、あとはいかに互いの動線を阻害しないか考えるというアプローチになる。しかし実際問題としてロボットは非常に高価であり台数に限度はある。といって、あと数台増やせば劇的に速度が上がるとなれば導入できないこともない。つまり、台数指定して速度を競うコンテストにすると、そういう工夫はできなくなってしまう。やはりビジネスのリアルなトレードオフを感じさせる戦略的取捨選択がないと、チャレンジとしての面白みはなくなってしまう。
その点で、最優秀賞となった「swarm」は出荷速度と成功率がともに1位となり、台数は他の2作の中間程度、省エネ効率も極端に悪くはなく、素早く出荷するという目的に対して最もチューニングされていると評価された。また上位で統括するのでなくロボット同士が自律的に協調する前提で、同一商品の大量出荷時にロボットが特定の位置に集中しないように、入荷の時点で商品をバラけさせる──確率的に分散して配置するという戦略も先進的。人間が作業するなら「何はどこにある」の知識を皆で共有するコストがあるため、同じ商品はできるだけ固めておいたほうが出庫時に混乱しない。しかし、コンピュータなら商品がバラバラに置かれていても苦でないし、ネットワーク連携することで常に知識は共有できる。このように、人間の作業員を前提とした「常識」を疑うことから始めたという意味で最も今回のコンテストの趣旨に沿うものとして「swarm」を最優秀賞とした。