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2020年 年頭所感

JILS・遠藤会長「課題解決に向けた活動を継続」

2020年1月8日 (水)

行政・団体日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の遠藤信博会長は6日付の年頭所感で、ことしは「ロジスティクスコンセプト2030」の実現に向けた活動を展開する方針を示した。

(以下、要旨)

昨年を振り返れば、深刻化する米中貿易摩擦や混迷を極める英国のEU離脱問題、地政学的な不透明感、新興・途上国における景気減速などの要因から、世界経済の成長率が低迷する1年となった。

一方でわが国の産業界を取り巻く状況は、雇用・所得情勢の改善が続くなど、緩やかな回復基調にあると思われるが、世界市場はGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)などの巨大なデジタルプラットフォーマーが席巻している。このような状況で活路を見出し、持続的に発展していくためには、AIなどのテクノロジーやビッグデータを柔軟に活用し、新しいサービスやビジネスを創出することが重要であると考えている。

2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)は、企業本来の活動そのものと理解しているが、掲げられた17の目標には、生産的かつ働きがいのある人間らしい雇用の促進、強靭なインフラ構築、持続可能な消費生産形態の確保など、ロジスティクスの高度化を実現するための重要な要素も含まれている。サステナビリティの観点から日本のロジスティクスがどうあるべきか、何を目標にすべきかを議論し、産官学の連携により全体最適化を図ることが重要であると考えている。当協会では、2030年のロジスティクスのあるべき姿を「ロジスティクスコンセプト2030」として取りまとめたが、本年は、この新たなコンセプトを共有し、その実現に向けて活動を展開していこうと思う。

当協会が取り組むイノベーション事業の一つである「ロジスティクスIoTの推進」では、荷主・物流事業者とソリューションベンダーのマッチングを目的とした「NEXTロジ創造ミーティング」を継続的に開催するほか、産業界の課題解決に向けた活動を継続していく。

「ロジスティクスKPIの推進」にあたっては、ポータルサイトを活用し、ロジスティクスKPIの考え方や手法、事例などを紹介して一層の普及に努める。「物流現場改善活動の推進」にあたっては、外部有識者による推進委員会を組織し、これまで以上に活動を強化する。

ロジスティクス人材の確保や育成活動では、階層別、分野別の各種講座、セミナーなどの開発を行うとともに、多様化する人材育成のニーズに応えるため、eラーニングシステムの開発にも引き続き注力していくほか、学生に向けて、ロジスティクス・物流の社会や産業界における重要性、仕事としての魅力などを訴え、この分野を支える人材の裾野を広げるために引き続き、学生のためのロジスティクス・物流研究プロジェクトの推進に取り組む。

労働力不足をはじめとしたロジスティクスの課題解決のための情報発信・技術交流の場として本年2月に「国際物流総合展2020 -INNOVATION EXPO-」を開催する。

当協会は、今後とも、わが国の産業活動と国民生活の持続可能な発展に向け、経済産業省ならびに国土交通省など、関係各省庁の施策と歩調をあわせるとともに、産・学の連携を強化し、全力を挙げて課題に取り組む。会員の皆さをはじめ、関係各位の一層のご支援とご協力を心からお願い申しあげる。