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苫小牧港に中核拠点、道産食品の輸出拡大狙う

2020年6月3日 (水)

国内北海道・苫小牧港でこのほど、道産品の輸出拡大拠点となる低温倉庫「北海道クールロジスティクスプレイス」が完成、営業を開始した。

新拠点は道内最大級となる2万200トンの収容能力を備えた温度管理型冷凍冷蔵庫で、今後は食品出荷の平準化や食品加工産業の育成、道内産品の混載・共同化、空港と連携した輸出入体制の強化といった道産品の輸出拡大を進める中核施設として運用される。

具体的には、道内の幅広い主要農畜水産品や加工用材料をベースカーゴとして運営の安定化を図りながら、多温度対応機能を生かして取り扱い品目の多様化、鮮度維持を活用した食の高付加価値化につなげるとともに、国内外への食材出荷に必要な物流ルートを整える。

また、この拠点を活用したプロジェクトとして高度な物流機能と食品加工機能を備えた「食産業基地モデル」の検討を進め、「道内食材を用いた輸出加工事業化を描く民間企業」と産地、物流サービスとのマッチングを促す。この取り組みにより、「食のサプライチェーン」を組み合わせた商品開発を促進、付加価値の高い物流拠点として機能させたい狙いもある。

▲北海道クールロジスティクスプレイス周辺の様子

プロジェクトは、北海道クールロジスティクスプレイス社が北海道大学や苫東とともに立ち上げた「北海道フードロジスティクス・イノベーション推進協議会」を通じて推進する。

このほか、新千歳空港を運営する北海道エアポートとの間で1日、苫小牧港と新千歳空港の機能を相互に活用・補完し、道産食品の国際物流拠点形成につなげることを目指した「ダブルポート連携協定」を締結。新千歳空港と苫小牧港の連携、小口混載コンテナ輸送の活用といった輸出手段の多様化策を講じる方針だ。

施設の整備は、2017年に苫小牧埠頭(北海道苫小牧市)が設立し、日本政策投資銀行、日本通運、北海道空港、ホクレン農業共同組合連合会が出資参画した北海道クールロジスティクスプレイス社が担当。苫小牧埠頭が今後の運用を担う。

■北海道クールロジスティクスプレイスの概要
所在地:苫小牧市字弁天1-45(苫小牧国際コンテナターミナル隣接地)
敷地面積:2万8441平方メートル
建築面積:4144平方メートル
延床面積:1万4738平方メートル
構造:鉄筋コンクリート造、地上5階建て(倉庫部分4層)
収容能力:2万200トン(冷蔵7500トン、冷凍7700トン、冷凍・冷蔵切替5000トン)
対応温度:0-10度(冷蔵)、氷点下38-同25度(冷凍)、氷点下25-10度(冷凍・冷蔵切替)、0-10度(CA=温度、湿度、大気組成を調節した貯蔵庫)
鮮度保持機能:CA冷蔵庫2800トン、急速凍結庫、加除湿装置
省力化設備:自動温度制御、立体自動倉庫、移動ラック、IT活用など
省エネ・環境対策:外断熱工法、自然冷媒機器(二酸化炭素、アンモニアを使用)など
BCP対策:耐震II類、津波避難場所機能、免震装置、非常用発電機など
総事業費:70億円
着工:2018年8月
竣工:2020年4月28日
営業開始:2020年5月29日

■北海道クールロジスティクスプレイスの立体図面