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空路×鉄道の選択肢は合理的で魅力的/解説

2020年12月24日 (木)

話題空路から鉄道経由の陸運はいくつかの点でとても好ましい。その第一に挙げられるのは「トラック依存からの脱却」だ。そこから得られるものは、道路混雑緩和や排気ガス削減、慢性化しているドライバー不足の改善などがある。今や物流業界にとどまらない社会問題としても重要な課題となっているのだから、打開策の具体化は有用だ。(企画編集委員・永田利紀)

日通が羽田輸入貨物の配送強化、関東は翌日午前中
https://www.logi-today.com/413553

もうひとつは「運送効率の向上」だ。端的に言えば、荷物1個当たりのコストが下がる。鉄道はトラック運送に比べて、配送網の細やかさや機能性の点で劣るとされてきたが、その因子となるのはひとえに「時間」だった。発地となる鉄道ターミナルまでの所用時間、ターミナルでの荷受所用時間、貨物車両の運行所用時間、目的地での荷下ろしと最終配送を担う拠点への距離と時間――などがネックとなって、コストと時間の歩留まりが安定しているトラック運送が常用されてきた。

(イメージ画像)

年末などの繁忙期には、毎年毎度、お約束のように「配達車両難民」と化して、高い値段にあえぎながらあたふたと慌てつつ車両確保に奔走する。誰もが改善しなければならないと痛感しているが、さりとて代替案が見当たらなかった。

その「時間」を従来よりも短縮した結果が、仮にトラック便より少し長いとしても、1個当たりの運送コストが低く抑えられるという利点は確保できる。なぜなら貨物列車1便の積載量はトラック10数台以上に相当するからだ。なによりも、時間とコストの組合せ選択肢が増えることの意味は大きい。

今回の羽田空港における日本通運の新サービスは、国際便増加の受け皿としての運送経路拡充よりも、鉄道による物流網拡張と迅速化の意義の方が大きい。言うまでもないが、このプランを基本として、さまざまな転用や応用の発展形となる運輸サービスが派生するのではないか、と期待は高まる。

国内物流の王者たる”マルツウ”の面目躍如というところだが、同調する追随者を広く受け入れ、相乗効果の見込める提携なども積極的に行ってほしい。