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物流連、池田新会長「物流の重要性をアピール」

2021年6月29日 (火)

定時総会後の記者会見で抱負を語る、日本物流団体連合会の池田潤一郎・新会長

認証・表彰日本物流団体連合会(物流連)は29日、2021年度の定時総会を東京都内で開き、渡邉健二会長(71、日本通運会長)が退任し、第11代会長に商船三井の池田潤一郎会長(64)が新たに就任する人事を承認した。同日付。池田会長は、「新型コロナウイルス感染症をはじめとする、現在直面している物流面の諸課題に取り組んでいく」と抱負を述べた。

池田会長は、商船三井の社長を経てことし4月から会長を務めるとともに、25日には日本船主協会の会長にも就任。物流連会長に海運トップが就任するのは、第8代の工藤泰三会長(日本郵船会長、当時)が2017年6月に退任して以来、4年ぶり。総会後の記者会見で、池田会長が物流連会長として取り組むべき重点項目に掲げたのが、「物流業を特に若い世代に『等身大』で見てもらえる活動」「社会インフラとしての物流のデジタル化・標準化」「グリーン物流対応」「国際的な課題への取り組み」の4点だ。とりわけ、池田会長が強調したのが、最初に掲げた「等身大」というフレーズだった。

「コロナ禍で物流の重要性が強く認識されつつある。裏を返せば、そういうことでもないと、その事実を分かってもらえないということであり、残念だ」。池田会長は、労働者不足、特に若手で物流現場の担い手が少ないことに強い危機感を示し、「(物流の重要性を)物流連が広報活動としてアピールしないといけないところだ」と強調した。コロナ禍以外の諸課題についても、行政を含めた関係者との意見交換を深めることで、解決策を模索していくとした。

政府に対しては、「物流業界が直面している課題について、ぜひご支援をお願いしたい」とし、前任の渡邉会長が推進した、物流のあり方についての議論を官民で進めてきた「対話」路線を継承しながら、カーボンニュートラルへの対応など、政府への提言も含めて積極的に情報発信していくと見られる。

池田会長が、物流業のアピールに注力する方針を示した背景には、業界が担う社会的使命への理解の遅れが、現場の人材不足など物流業の構造的な課題の解決を阻む要因であることを、認識しているからだと言える。池田会長の発言は、物流業界が直面する根深い課題を解決していくには、まずは国民に対して物流の仕事を正しく理解してもらうことが必要なのだという事実を浮き彫りにした。まさに「隗より始めよ」。池田会長には、物流業界のリーダとしての具体的な手腕が問われることになる。

■物流環境大賞、7社による「6輪カートでの効率的な往復運用」が受賞
物流連は29日、定時総会に先立ち「第22回物流環境大賞」の表彰式を開催。選考委員長を務めた野尻俊明・元流通経済大学長は、「荷主企業と物流事業者が一緒に取り組む案件が多いのが印象的だった。両者が同じ問題認識を持ち、同じ課題に対応していかなければならないという危機感が伝わってきた」と評した。各賞の受賞者は以下のとおり。

第22回物流環境大賞に選ばれた受賞者

【大賞】
ベイシア、河村商事、日本アクセス、関東デイリー、南日本運輸倉庫、ケーツー、昌和商事「特許技術による6輪カートでの効率的な往復運用」
【低炭素物流推進賞】
ランテック「セミトレーラーを活用した海上モーダルシフトによるドライバー不足と環境負荷低減の取り組み」
メディセオ、日本貨物鉄道(JR貨物)、日本フレートライナー、日本石油輸送「物流センター間(埼玉ALC〜東北ALC)の在庫移送をトラック輸送から鉄道コンテナへのモーダルシフト」
【サステナブル活動賞】
ランテック「冷凍・冷蔵物流におけるCO2排出量の削減取り組み」
ユーピーアール、東レ「アクティブRFIDタグ搭載スマートパレットの活用による物流の生産性向上」
【先進技術賞】
プロロジス「IoT技術を活用した環境負荷低減の取組」
日立物流「スマートウエアハウス(EC物流向けシェアリング自動倉庫)運営による環境負荷低減」
【日本物流記者会賞】
浪速運送「ハンガー物流推進による、ファッション業界サプライチェーン全体の環境保全と経済効果実現の両立」