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日本通運の新本社営業開始日、12月6日に決定

2021年11月8日 (月)

(クリックで拡大、出所:日本通運)

拠点・施設日本通運は8日、本店所在地変更に伴う新本社での営業開始日をことし12月6日とすることを明らかにした。日通は、本店所在地を現在の東京都港区東新橋から千代田区神田和泉町に移し、新設の「NXグループビル」にグループ会社を含めた複数の拠点を集約する。

日通は2022年1月4日、単独株式移転によって持株会社「NIPPON EXPRESS(ニッポンエクスプレス)ホールディングス」を設立する。事業年度についても、4月1日から翌年3月31日までの現行期日を改め、1月1日から12月31日までに変更する。

物流業界では、SBSホールディングスが本社機能をことし12月より順次、本社機能を東京都墨田区から新宿区に移す。M&Aで増えたグループ各社の本社機能を集約する狙いだ。ヤマトホールディングスは、東京都中央区の本社ビルと本社別館ビル、ヤマト銀座ビルの改修・建て替えを実施。各ビルに住居していた両社の各部門をことし8月23日から西新橋に一時移転している。

物流企業の本社機能に求められるものは

日本通運の本社移転日がことし12月6日に決まった。物流業界では、本社の移転や改修の動きが広がっている。本社の場所選定もさることながら、機能の集約による効率化の促進が狙いなのは明白だ。こうした動きは、物流企業グループが本社の「あるべき姿」を模索しているように映る。

物流業務の実務は、当然ながらセンターや営業所などの現場で展開されている。荷物の集配や仕分け、各種営業活動は、全国の津々浦々に巡らされたネットワークが機能することで初めて、実効的なサービスを提供できるのだ。

(イメージ)

むしろ、本社はこうした現場を統括するとともに、企業グループの将来の成長戦略の策定をはじめとする「羅針盤」の役割を担っていると言うべきだろう。「グループ企業の本社は集約したほうがいい」との発想になるのは、ごく自然な思考だろう。

「本社の格式が企業の格を決める」との認識を変えない経営者も依然として健在である。業界によっては、企業の信用補完として本社を位置付ける発想もありうるだろう。しかし、物流業界において言えば、それは当たらない。なぜなら、物流企業グループの信頼の証は、圧倒的に現場の努力による輸送品質の提供に依拠するところが大きいからだ。

つまり、物流企業グループの本社も、グループの意思決定の迅速さなど実務的な機能を果たせるのであれば、それで十分と言うことだ。積極的に投資すべきなのは、作業員と設備、車両などサービス展開に必要な資本に対してだ。あと、本社と現場の人材交流がスムーズで聖域なく行える体制作りの契機となれば、もはや盤石だろう。(編集部・清水直樹)