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年頭所感、コロナ禍契機とする変革へ決意相次ぐ

2022年1月4日 (火)

(イメージ)

ロジスティクス多くの企業で仕事始めとなった4日、新型コロナウイルスの感染拡大がおさまらないなか、社員を大会場に集めての訓示を取りやめる企業が目立った。物流大手ではオンラインに置き換えたり、社員メールでQRコードを配信して、個人がいつでも動画が見られるようにするなどの動きが見られた。

経営者らは所感で、コロナ禍のなか「物流を止めない」との強い意志のもと、支え続けてきた関係者に敬意を表した。同時に、変化の時代に適応した物流企業としての、新たな価値創出に向けた変革への決意表明が相次いだ。

各社の年頭あいさつ要旨は以下の通り。

■センコーグループホールディングス福田泰久代表取締役社長

<物流の持つ強みさらなる販売機能や商事事業の拡大へ>

今年4月から新しい中期経営計画がスタートします。現在、計画の最終まとめをしていますが、経営の基軸として事業の多角化をさらに進めます。

核となる物流事業は、製造から販売までをつなぐ、あるいはそれぞれを支えるというものでした。これからはそれをさらに伸ばしつつも、物流の持つ中核機能や培ったノウハウを強みとして、販売機能である商事事業のさらなる拡大などに取り組みます。

また、「人々の生活を支援する」というグループの企業理念の実現に向け、高齢化社会、健康、食、生活を支える事業に加え、「ビジネスや産業を支援する」という観点も明確にして、グループの全事業に占めるこれら事業の比率を高めていきます。

その中で、グループ全社員の皆さんに期待することが2点あります。

1点目は、「新しい発想、アイデアによる新商品・サービスの創出」です。

今までと同じ或いはその延長だけでは、他社との差別化が図れず、厳しい競争を勝ち抜けません。労働時間だけでなく、仕事の成果に応じた報酬を受け取る制度も取り入れたいと思いますので、皆さんの積極的なチャレンジをお願いします。

2点目は、仕事に加え、心身ともに豊かになれることにも打ち込んで欲しいということです。皆さんが文化やスポーツ、趣味などいろいろなことに取り組み、それを会社もサポートする、そして人生いつまでも健康に過ごせる、そのような魅力あるグループにしていきたいと思います。

新型コロナ発生から2年になりますが、今年は感染防止と健康の確保を図りつつ、事業を正常な軌道に戻し、さらに伸ばしていけるよう、皆さんとともに知恵を絞りながら乗り切っていきましょう。

■三井倉庫ホールディングス古賀博文代表取締役社長グループCEO

「生き残る種とは、最も強いものではない。変化に最もよく適応したものである」

新年明けましておめでとうございます。新年を迎えるにあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

「物流」という重要な社会インフラを支える企業として「物流を止めない」という強い気持ちのもと、昨年もコロナ禍にありながらグループ一丸となって「物流」を支えてまいりました。私たちに与えられたこの社会的使命を本年もしっかりと果たしてまいりたいと思います。

また、今この時も「物流」を支えている物流業界の私たちの仲間に対して改めて敬意を表したいと思います。

昨年を振り返りますと、経済・社会・生活、全ての局面でまだまだ制約が続いた状況でありました。そのような状況ではありましたが、当社グループはサプライチェーン上の様々な混乱や需給バランスの歪みなどに対して適切に対応できたことや、ベースとなる業務が堅調に推移したこと、そしてこれまで進めてまいりました粗利益改善やコスト削減などの施策による収益力の底上げなどにより、厳しい事業環境下でも底堅く収益を確保することができました。

本年は、5か年の現中期経営計画の最終年であり、新たな中計のスタートを切る年となりますが、現在注力している【圧倒的な現場力の構築】【一気通貫の「統合ソリューションサービス」の構築】【ESG経営】、この3つの施策への取り組みは今後も継続してまいります。今後この3つをはじめとする様々な施策を実施していくにあたり、その下支えとなる取り組みとして「DX戦略」と「ESG経営」の二つを重視してまいりたいと思います。

物流のDXは、経済・社会活動にとって大変重要な役割を果たすものと考えます。DXの実現には自らが変化すること、そして変化し続ける姿勢を持つことが不可欠であるとの考えのもと、当社グループのDX戦略に沿った各種取り組みや様々なプラットフォームとの連携、協創を通じて新たな価値を創出してまいります。「物流のDX無くして、お客様のDXは実現しない」という意識を強く持って様々な取り組みを進めてまいります。

「ESG経営」も「DX戦略」とならび、重要な取り組みとなります。これは私の持論なのですが、日本の企業には利益を求めることと同等に、社会的な責任も同様に果たしていく、という精神がそもそも根付いていると考えています。これからは企業と社会がお互い成長していくための取組みが一層必要とされるようになるでしょう。物流を通じてお客様のサプライチェーンサステナビリティを支援する【三井倉庫のSustainaLink(サステナリンク)】サービスを昨年開始したのはまさにこの想いからです。これまで提供してきた様々なサービスに、持続可能性という視点をさらに加えることで、環境リスク、労働力リスク、災害リスクといった物流を取り巻く様々な社会課題にも対応可能な物流体制を構築し、提供していきたいと考えております。

近年、グループの各社が協調し、各々の強みを十分に認識し伸ばしてきたことに加え、総合物流企業グループとして幅広い事業ポートフォリオを構築してきたことで、ベース収益とフロー収益がバランスよくマッチし、着実な成果を挙げており、業績については安定した状況が続いておりますが、足下を改めて見た時、私の認識は「まだスタートラインに立っただけ」というのが正直なところです。

「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。」という言葉にあるとおり、変化に積極的に対処し、自らを進化させていくことが厳しい競争に打ち勝ち、生き残っていくためには不可欠と考えています。「変化」は、私たちの「新たな価値」を生み出す大きな力です。

現中計の数値目標は既に達成し、盤石とは言えないかもしれませんが今後の持続的成長を支える財務基盤も強化できたと言えます。しかしあえて厳しく言えば、これまでの取り組みはとにかく「再生」を優先してきたもので、「真の成長」のために必要な取組みを次期中計では、より重視していきたいと考えています。その取り組みの一つとして「従業員エンゲージメントの向上」を挙げたいと思います。仕事面だけではなく、従業員、そしてその家族の方々の生活の充実なくして、当社グループの持続的成長もあり得ないという思いのもと、取り組みをグループ全体に広げていき、真の意味での良い会社にしていく取り組みを進めてまいります。この取り組みの進展と、私たちが求める「新たな価値」の創造は、車の両輪のような存在と言えるかもしれません。

今後30年あるいは50年を展望した非常に大事な次期中計が始まろうとする本年、変化が激しい時代においても変わらない確固たる私たちの価値はなにか?社会における役割や提供できる価値、私たちにしかできない物流とはなにか?そしてなにより「どのような物流企業を目指していくのか?」ということを愚直に考え、なすべきことを整理し行動してまいります。

これからも厳しい状況は続くかもしれませんが「物流を止めない」という社会的使命を果たし、「物流という重要な社会インフラを支える企業」としての誇りを持ってグループ一丸となって新たな時代を進んでまいります。

■SBSホールディングス鎌田正彦代表

<EC急拡大への対応、ESG経営で新しいステージへ>

これまでコロナ禍で苦しい生活を余儀なくされ、感染拡大が予断を許さない状況のなか、現場業務に真摯に取り組んでいただいた従業員の皆さんのおかげで、グループ業績は過去最高を達成できる見込みです。これはSBS東芝ロジスティクスの新規連結効果とSBSリコーロジスティクスの業績改善が大きな要因ですが、他のグループ会社もほとんどが予算達成し、全社が黒字化を果たすことができ、心から感謝を申し上げます。

昨年は東洋運輸倉庫、日ノ丸急送、旭新運輸開発、ジャス、アイアンドアイ、SBS古河物流が新たにグループ入りし、多種多様な会社が集まったことで何でもできる物流グループへと変貌を遂げました。また、10月に横浜に竣工した1万6000坪の物流倉庫では、日本最大級のオートストアを導入してDX化を推進しており、今年も一宮、野田瀬戸と大規模倉庫の建設に着工しロボットなど最先端のLT(LogisticsTechnology)導入を行います。

一方で、ECの急拡大に対応すべく汎用性の高いEC物流システムの開発を進め、10年以内にEC物流で1000億円規模の売上を獲得していく方針です。大規模倉庫の内部をロボットが縦横無尽に走り回り、配送まで自社で完結すればグループの優位性は高まるはずです。

本年4月に当社は東証プライム市場に移行します。サステナビリティの面でも厳しい基準が課せられますが、EVトラック導入や太陽光発電などにより脱炭素化、CO2削減に取り組み、ESG経営を推進していきます。

今年は新宿に本社を移転し、グループ会社が一堂に集結しますが、グループの発展には物理的距離を縮めて一体運営し、スピードアップすることが不可欠です。さらに、エントランスに大型サイネージを設置して現場の活躍をお客様にお見せし、ロボットなど最先端技術を展示するショールームも設けるなど、営業販促活動の支援を図ります。

本年のキーワードは「集(つどう)」としました。新本社に皆が集い、さまざまな交流から新たな出会いや発見を通して、日本の物流業界でかつて誰も成しえなかった新たなステージで、大いに活躍できる企業集団をめざしたいと思います。
国内物流企業のトップティアをめざして、集う皆さんがさらに交わり、夢に向かって進化と発展を遂げる一年にしていきましょう。今年も素晴らしい年となることを願っています。

■鈴与鈴木健一郎代表取締役社長

<脱炭素の流れ汲む、物流事業の「全体最適提案」強化へ>

経営の拠り所である「共生(ともいき)」の精神に則り、個々が自立した上で事業環境に左右されにくい体質づくりをして、有事には支え合うのが鈴与グループだ。グループ社員や地域のみなさまが安心できる環境を整備するため、昨年行った職域接種も3回目の準備を進める。

脱炭素の流れが速く、強く、大きくなる中、物流事業の全体最適提案は、お客様にとって投資をせずにすぐにできる脱炭素の取り組みとして重点的に強化する。グループ全体で脱炭素の取り組みを進め、お客様とその先にある社会に貢献していく。

■郵船ロジスティクス神山亨社長

<サプライチェーンに新たな価値を>

皆さん、明けましておめでとうございます。社長の神山です。2022年を郵船ロジスティクスグループの皆さんと共に迎えられることに感謝したいと思います。

【2021年の振り返り】

2021年もまた、新型コロナウイルスが私たちの生活に大きな影響を及ぼした年でした。欧米やアジアの一部では経済活動が急速に回復しましたが、世界の物流は未だ混乱が継続しています。感染の抑制と経済活動の両立という難しい状況が続きましたが、このような状況下でも「物流を止めない」という皆さんの熱意と貢献で、今なお続く難局を乗り越えられています。

その結果として、2021年度の上半期は過去に例を見ない好業績を納めることができました。皆さんの並々ならぬ努力に心から感謝します。

【徹底的にお客様に寄り添う】

今年は”TRANSFORM2025″第2フェーズの総仕上げとなる年度に入ります。MISSIONで掲げているように、「世界で認められ選ばれ続けるサプライチェーン・ロジスティクス企業」となるため、引き続きさらなる深化を目指して成長を加速させます。EndtoEndビジネスの拡大とKeyAccountの強化に注力し、徹底的にお客様に寄り添って、他社とは一線を画すサービス提供を目指してください。お客様のニーズを深く理解しサプライチェーンに新たな価値を提供することで、既存ビジネスモデルとは異なる質の高い収益を追求していきましょう。

さらに、当社は引き続き事業や地域のポートフォリオで欠けている部分に対し投資を行い、グローバルで包括的な物流サービスの提供を可能にしていきます。その先には、お客様のビジネスと当社の持続可能な成長を実現するESG経営を見据えています。

【結び】

郵船ロジスティクスにとって最大の資産は従業員です。当社の成長のためには皆さん一人ひとりの成長と幸福度を高めることが不可欠です。個々の価値観・働き方を重視し、やり甲斐をもって公平に働くことができる新人事制度の導入や人材育成への取り組みを強化していきます。

そして、皆さん一人ひとりのユニークさである「多様性」を大切にし、より多くの方とコミュニケーションをとり、多様な考え方を吸収し、情報を読み解く力を高めて会社を進化させる原動力にしたいと考えています。

皆さんも周りの方と積極的にコミュニケーションを取り、さまざまな考え方やアイデアを共有してください。それこそが人の輪を大切にする郵船ロジスティクスの文化を醸成し、また強化していくと信じています。

最後になりますが、引き続き健康に気を付けて、2022年を素晴らしい年にできるよう、共に挑戦し成長し続けましょう。