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スマート物流EXPO、課題解決型の「原点回帰」に好感

2022年1月21日 (金)

イベント物流業務の最適化・効率化に向けたシステムやロボット、マテハン機器などを紹介する「第1回スマート物流EXPO」が21日、3日間の日程を終えて閉幕した。物流現場における省人化や自動化が叫ばれるなかで、さまざまな領域の企業が各社の強みを生かして開発した取り組みを披露。最終日まで多くの来場者が会場を埋め尽くし、関心の高さをうかがわせた。

最初の開催となったスマート物流EXPOは、IoTやAI(人工知能)、ロボットなどの先端技術に特化した物流業界向けの展示会。ロボットそのものの機能や斬新な発想で編み出したシステムを大胆に訴求する企業が目立つ一方で、ロボット導入によるメリットについて理解を促すことに焦点を絞った独自のブースを展開するなど、原点回帰にこだわった企業もあり、来場者の幅広いニーズを概ね受け入れることができた見本市になったのではないだろうか。

物流現場の抱える人手不足や業務効率向上などの課題を解決に導く打開策として、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化が脚光を浴びて久しい。しかし、多くの物流現場ではロボット導入はおろか、課題の抽出にも四苦八苦しているのが実情だ。近年の物流関連の展示会では、先進的で近未来を想起する技術を派手に紹介するブースが相次ぎ、集客力を大きく高めたのも事実だ。

しかし、ここで考えてみてほしい。物流DX化の最前線を訴求するのが見本市なのであれば、そもそも現場の課題認識さえできずにいる担当者は出展ブースからどんな情報を得ることができるだろうか。その意味で、今回の展示会では、比較的地に足のついた形で来場者に課題解決の方策を提示するブース出展が目立った。むしろ、こうした課題を解決することの重要性を訴えるプレゼンテーションやデモンストレーションを体感する機会が多く、まさに「原点回帰」した印象だ。

展示会の出展企業や主催者は、来場者、さらには物流業界が課題解決のどのステージにいるか、その「現在地」を分析したうえで、そこにきっちりと訴求できる出展ブースを構成してほしい。(編集部・清水直樹)