サービス・商品ゼンリンとMobility Technologies(モビリティ・テクノロジーズ、東京都港区)は10日、ドライブレコーダーのデータに基づく地図と実際の道路情報の差分をAI(人工知能)技術などを用いて自動で抽出し、地図のメンテナンスに活用する「道路情報の自動差分抽出プロジェクト」において、全国の高速道路を対象に試験運用を開始したと発表した。
高速道路の規制標識の変化を自動で検出することで、最適ルートを自動で探索して案内する。物流トラックの輸送業務効率化や負担軽減に貢献する技術として注目を集めそうだ。
プロジェクトは、ドライブレコーダーから取得できる情報を元に道路上の物体を検出し、地図と比較することで現地と地図の差分を見つけ、地図を更新する取り組みだ。要素技術の研究とシステム開発を終了し、全国の高速道路を対象に試験運用を開始した。
プロジェクトの特徴は、最新の道路情報データを反映している点だ。こうした大量の道路情報データは、モビリティ・テクノロジーズが展開する次世代AIドライブレコーダーサービス「DRIVE CHART」(ドライブ・チャート)で収集。全国で3万台以上のトラックやタクシー、営業車が契約しており、全国の高速自動車国道や自動車専用道路の総距離3万キロの9割を1か月で走行する網羅性を持つ。
道路標識の正確な判読率もこの技術の強みだ。高速道路上のLED式速度制限標識は、その点灯周波数とドライブレコーダーの撮影周波数の関係でLEDの数値が映像に映らない瞬間があり、AIによる数値の読み取りが困難なのが課題だった。モビリティ・テクノロジーズは、映像中で検出した標識を追跡。LEDの数値がはっきり見える瞬間を自動的に選んで判読することで、こうした課題の解決につなげた。