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物流需要に沸く岡山・早島、24年問題「追い風」!?

2024年2月16日 (金)

話題いま、岡山市の物流施設開発が熱い。とりわけ岡山市北区と早島町で大手物流施設デベロッパーによる大規模施設の開発が相次いで報告され、物流適地としての「岡山・早島ブランド」に、荷主・物流企業の注目が集まりつつある。この地で何が起きているのか。

▲早島エリアの大規模賃貸型物流施設の総延床面積の推移(クリックで拡大)

台風の目となる早島エリアの既存延床面積(大規模賃貸物流施設)は8万9000平方メートル(2万7000坪)にすぎなかったが、2025年末までに完成する施設の総延床面積は12万9000平方メートル(3万9000坪、一部完成後の詳細不明)に達する見込みで、わずか2年の間に2.5倍に拡大することになる。

岡山・早島エリアに物流施設の竣工ラッシュが到来するのはなぜか。本四連絡橋があるのは優位な要素だが、なぜ尾道ではなく早島なのか。広島県でなくなぜ岡山県なのか。その背景には何があるのか。LOGISTICS TODAY編集部は現地へ取材に入り、これらの背景と今後の動向を探った。

▲車窓からのぞく岡山・早島エリアの流通団地。岡山の物流適地としての優位性を高める

中四国のクロスポイント・岡山、行政の後押しも奏功

▲早島エリア周辺の募集賃料相場(※LOGISTICS TODAY調べ、クリックで拡大)

まずは岡山県のポテンシャルを見ていこう。中国地方、特に山陽地方は関西と九州をつなぐ西日本の主要ルートで、人口280万人の広島県、190万人弱の岡山県が隣接する。地域経済の要としては広島が多くを担っているが、物流視点で考えると事情が異なってくる。

岡山を物流適地としているのは、まず「中四国のクロスポイント」としての存在感だ。トラック輸送の柱となる高速道路では、西日本を東西に貫く山陽自動車道、中国縦貫自動車道と、日本海から太平洋へと至る中国横断自動車道と瀬戸中央自動車道が交差する結節点、まさに東西と南北が交差する地点であり、関西、中国西部、四国への入り口として、また瀬戸内海から山陰側への最適ルートをつないでいることがわかる。

▲中四国のクロスポイントとして存在感を放つ岡山(クリックで拡大)

広島と岡山は160km離れているが、どちらも大阪と福岡にリーチしやすいという面では物流拠点に適した立地だといえる。ただ、倉庫面積のストックとなると、やや岡山の優位制が浮かび上がってくる。中四国地域の倉庫面積調査(21年、岡山運輸支局)によると、1から3類倉庫面積(普通倉庫のうち工業品などの保管を中心とする一般的な営業倉庫)の比較では、岡山県が140万平方メートル以上で、中国5県の45%を占める。2位の広島県は38%だ。

人口分布はどうか。県内人口は広島県に分があるものの、配送拠点としての重要性に影響する都市圏の人口密度は岡山が1平方km当たり446人、広島は411人と逆転する。

▲倉庫面積で広島を上回る岡山(クリックで拡大)

物流に影響する要素としては、気候も大きい。台風シーズンとなれば常に道路の通行止め、山陽線の不通におびえなければならない広島に対し、岡山は「晴れの国」とも呼ばれるように、自然災害に強い岡山の安定性が物流ポテンシャルの高さに直結する。しかし、岡山・早島にいまも物流施設が集積し続けるのは、これら以外の要素が大きいことがわかった。

▲岡山県は47都道府県で1番、1mm以上の雨が降る日が少ない県だ

岡山・早島の物流施設集積エリアとしての実力を高める主因がどこにあるのか、なぜ尾道や倉敷ではないのか、その理由は何かをさらに掘り下げ、地元トラック運送会社や岡山県トラック協会、地元荷主企業の証言を交えてこのエリアの「熱さ」に迫る。

【岡山・早島特集目次】

なぜ岡山?中継輸送拠点が物流施設需要押し上げ
色あせぬ流通団地、消費市場としての「岡山・早島」(近日公開)
岡山起点の物流改革を地元企業に聞く、そしてネクスト早島は?(近日公開)
新物流ブランド・岡山からプロロジスが目指す変革