ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

25年竣工プロロジスパーク岡山に、物流再編の道程が見える

新物流ブランド・岡山からプロロジスが目指す変革

2024年2月16日 (金)

話題2024年問題は、物流の景色を大きく変えていく。働き方改革法案の施行で、物流業界はトラックドライバーの長時間労働の改善へと舵を切った。一方で、それに伴う輸送力の低下にどう対応していくのかが、これからの物流のあり方にかかる大きなテーマとなっている。

新しい運び方への対応として、物流拠点や物流網の再編も見直されている。首都圏集中や、ドライバーへの負荷が高い長距離輸送を前提としたサプライチェーン(SC)構築ではなく、ポスト24年の物流を維持、発展させるという観点での拠点設定も加速する。

そんな物流危機下の「物流要衝」として、にわかに注目を集めているのが、岡山県の早島インターチェンジ(IC)周辺である。

▲「プロロジスパーク岡山」周辺広域図(クリックで拡大)

地図を広げてみれば、早島の新たな物流拠点としての重要性は一目瞭然である。大阪と広島のほぼ中間に位置し、南へは高松を入り口として四国へ、北側へは鳥取、島根へと延びる配送ルートがイメージできるだろう。山陽自動車道が横軸、瀬戸中央自動車道が縦軸に交わり、さらに東西の大動脈である国道2号にも近接と、中四国の物流中心地に位置することがわかる。

次代を見据えた物流施設開発を展開するプロロジスも、早島IC至近で新規施設開発に着手する。同社はこの地での施設開発から、物流危機時代に何を目指すのか。

まさに24年問題が生んだ、次代の物流要衝・早島IC周辺

同社が開発を進めるプロロジスパーク岡山は、24年問題に対応できる高い物流ポテンシャルを生かした物流施設として、ことし5月に着工、25年の竣工を計画している。

▲「プロロジスパーク岡山」完成イメージ

▲周辺中域図(クリックで拡大)

「早島一帯は、中国地方と四国地方のクロスポイントにあたり、中四国全域から関西エリアや山陰エリアまでをカバーする物流ハブとなる希少なエリアです。西日本を代表する新たな物流拠点として、その活用が課題解決につながるはずです」と、営業部のディレクター、永谷裕児氏は語る。

同施設は、この山陽自動車道と瀬戸中央自動車道が交差する早島ICまで3.5km、一般道で岡山駅まで30分、倉敷駅まで20分ほどに立地する岡山県総合流通センター内で開発が進められている。1980年代から地域経済の中核として都市計画に組み込まれてきたこの流通センターには、卸業者や物流業者100社以上が集結し、流通基地として街の発展を支えてきた場所でもある。その物流において極めて優位な立地が、物流危機の到来であらためて評価される状況である。

▲営業部ディレクターの永谷裕児氏

「働き方改革によって一人のトラックドライバーが運べる距離が短くなり、これまでの物流拠点編成では、日本各地に配送の空白地帯ができてしまいます。大消費圏を中心にして構築してきたこれまでの拠点編成が見直され、分散拠点や中継拠点を設定するという考え方も広がっており、プロロジスパーク岡山はまさに、こうした2024年問題への対応ニーズに応える施設であると考えています」(永谷氏)

早島を中心に配送エリアを設定することで、輸送2時間圏内のエリアに、広島・岡山・倉敷・福山・高松・高知といった中四国の主要都市をカバーし、関西までを3時間圏内に収めることが可能となる。対象エリアへの大型配送拠点として活用できるとともに、関西と九州間を結ぶ中継拠点としての有用性の高さも際立ち、まさに24年問題によって喚起された新たな物流需要から生まれた施設であると言えよう。

プロロジスでは23年、東北における24年問題への対応を開発コンセプトにしたプロロジスパーク盛岡を竣工した。これまでの仙台を中心とした配送設定では、秋田や青森にものを運べなくなる事態が発生することを見据え、新たな北東北の物流拠点の必要性に応えた施設であった。プロロジスパーク岡山も同様に、中四国山陰への配送における新たな物流拠点として、サステナブルな地域の物流インフラ維持に貢献する役割を果たす。さらに、西日本の背骨をつなぐことで日本経済の屋台骨を支える使命も担うこととなる。物流危機への切り札となる立地で、ポスト24年ならではの新たな物流要衝として定着していくことになろう。

西の拠点として近隣ニーズ、工場在庫ニーズ、広域配送ニーズに応える

営業部のマネージャーで大阪オフィスの小林千代子氏は、24年問題を見据えた広域配送ニーズ以外にも、「同じ流通センター内や周辺エリアからの移転や増床にともなう近隣ニーズや、周辺工場の在庫保管に対応する工場在庫ニーズでも機能を生かせると考えています。これまで新規施設の開発がなかった地域だけに、古い倉庫からの移転などでの活用や、地元工場の物流・在庫需要の受け皿となるキャパシティーが評価いただけると考えています」と語る。

▲幹線道路からのぞく流通団地

こうした需要に応える施設のスペックは、延床面積3万5000平方mの地上4階建てボックス構造。「想定されるさまざまなニーズに対応しやすい施設として、1階バースには高床式バースのほか、一部には両面バース、低床バースも採用。1階の床荷重は1平方m当たり2.0トンと、飲料などの重量物の取り扱いにも最適です。また1階から3階は、自動化を進めるにあたってマテハンやソーターなどの機材レイアウトの自由度が高くなる設計を採用しています」(小林氏)

▲営業部マネージャーの小林千代子氏

人材確保もこれからの施設運営における課題となるが、早島は政令都市の岡山市と中核市の倉敷市のベッドタウンとして人口が増加している地域であり、雇用確保の面でも優位性を誇る。「マイカー通勤30分圏内の95万人の人口を視野に入れて、敷地内には150台程度の駐車場を用意しています。住宅や道路、商業施設も充実した地域であり、人手不足の環境下でもスムーズな人材確保に貢献できます」(小林氏)

また、「岡山県は国内においても大型地震などの自然災害の少ない地域です。加えて開発地域は標高が高く、水害や液状化リスクも極めて低いことも特徴。災害への備えやBCP面での拠点性能という観点でも、早島の優位性が見直されています」(永谷氏)という。施設内には緊急地震速報システムや衛星電話、非常用発電機や組み立て式トイレなどの備品をそろえ、災害下でも施設稼働できる体制で、事業継続を支える設備も心強い。

▲災害への備えのある防災性の高い立地(クリックで拡大)

さらに、これからの企業経営における環境性能、省エネ・コスト削減にも配慮する。館内にはセンサー付きLEDを用意し、タブレット制御によるきめ細やかな照明の設定が可能。蛍光灯はもちろん、通常LEDと比較しても消費電力を半分近くまで削減でき、コスト削減と温室効果ガス削減にも有効だ。さらに、太陽光発電設備を設置し、太陽光エネルギーの自家消費と再生可能エネルギー使用による非化石証書調達を併用して、館内使用電力の100%カーボンフリー化を予定。コスト削減とSDGsに貢献し、入居企業にとっては社会的責任やブランド価値の向上にもつながる。

「早島ブランド」の定着こそが、今後の物流のあるべき姿を体現する

これら、24年問題に対応する中継拠点、分散拠点としての機能性の高さはもちろんだが、物流に関する課題解決のため、さまざまなソリューションを提供するプロロジスのサポートも、これからの物流を構築する上で心強い。

長年にわたって入居企業の課題に向き合ってきた知見を生かして、拠点立ち上げや、施設内オペレーションの効率化、施設運営の自動化支援、自動センター立ち上げ支援などのコンサルティングのノウハウでも強みを持つ。また、共同配送のコミュニティーを立ち上げてカスタマー同士の出会いの場をつくり、輸送効率化の旗振り役も担う。

プロロジスパーク岡山はまさにこうした次代の物流拠点としての自動化や、共同配送の舞台となる次世代の物流に対応するポテンシャルを持つ。中継拠点、分散拠点としてだけではなく、共同輸送コミュニティー結成としての拠点など、さらなる物流効率化を進める構想もふくらむ。

未来を見据えた物流の構築において、「早島」「早島IC周辺」というキーワードは今後のトレンドとなるに違いない。物流危機の象徴ではなく、物流危機を解決する新しい挑戦や、協働の象徴としてこの街の名前が有名になることが、物流業界にとっての希望の光となるかもしれない。

プロロジスパーク岡山の概要

所在地:岡山県岡山市北区大内田677
交通:山陽自動車道・早島ICから5.3km、瀬戸中央自動車道・早島ICから5.5km

(クリックで拡大)

竣工年:2025年
構造規模:地上4階建・RCS造・耐火構造
敷地面積:1万6000平方m(約5000坪)
延床面積:3万5000平方m(約1万坪)
用途地域:準工業地域

「プロロジスパーク岡山」概要

【岡山・早島特集目次】

物流需要に沸く岡山・早島、24年問題「追い風」!?
なぜ岡山?中継輸送拠点が物流施設需要押し上げ
色あせぬ流通団地、消費市場としての「岡山・早島」(近日公開)
岡山起点の物流改革を地元企業に聞く、そしてネクスト早島は?(近日公開)