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自動物流道路、今後10年での実現へ夏に構想まとめ

2024年2月21日 (水)

行政・団体国土交通省は21日、第1回となる自動物流道路に関する検討会を開催した。今後10年での早期実現を目指し、夏には基本的な構想を取りまとめる方針で、それまでに複数回の検討会を実施する予定。

検討会の開催に当たり、丹羽克彦道路局長が冒頭挨拶し、「岸田(文雄)首相からも提言があったように、今後10年での(自動物流道路の)実現を目指し、スピード感を持って、大胆なプロジェクトにしたい」と強調した。

検討委員会の羽藤英二委員長も挨拶し、「自動走行という新しい技術を活用した社会問題の解決のため、中国、スイス、アメリカなどの先行事例を参照しつつ、10年という期限のなか、委員会で十分議論して現実的な解決を見いだしたい」と語った。

▲検討委員会で発言する羽藤英二委員長(右)

検討会は、既存の道路、鉄道などのほか、新規インフラの整備や多チャンネルでの物流の連携など、国を挙げての物流の効率化を目指す施策について、専門家を交えて議論。背景にある人口減少や2024年問題による働き手の不足、災害の頻発といった物流の停滞を招きかねない事象への対応が急務であることから、物流における脱炭素化を並行して進めていくための各種施策の検討も行っていく。

検討会では国交省が用意した国内流通の現状と解決すべき課題、参照すべき海外の事例などが紹介され、検討委員として招集された有識者との意見交換が行われた。方向性としては、特定のインフラの整備など決め打ちの施策の実現を進めるものではなく、現状を踏まえて今後の日本の物流をどう最適化していくかを模索しながら進められるという。

スイスが2030年代を目安に地下輸送の第一区間、70kmを完成させ、その後総延長500kmの輸送網を整備するように、将来まで見据えた施策の検討を行う。今回は国交省が用意した資料をベースに行われたが、有識者委員から出た課題に関する調査を行い、今後の議論を深めていく予定。

国交省の資料によると、自動物流道路構築のためには各種インフラの整備のほか、技術開発、法整備、モーダルシフトの推進、情報化・標準化などのほか、商習慣の変化も必要であるとうたわれている。また、インフラの整備には巨額の公費が投じられることになるため、世論による認知と物流改革を必要とする世論の醸成も必要となる。

検討会を重ねることで施策をより具体化していくため、現段階では関連法やインフラの整備その他、実際にどのような施策が行われていくかは未定だが、担当官によると、スイスの地下輸送路の整備が全長500kmで5兆円規模となっており、規模感としては同程度となる可能性が高いという。

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LOGISTICS TODAY編集部
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