ロジスティクストラック運送事業者の運行管理業務の新たなルールづくりなどを進めている国交省の「運行管理高度化ワーキンググループ(WG)」の2025年度活動方針が明らかとなった。同WGでは今後、遠隔点呼を実施している営業所間・事業者間での対面点呼を可能とする措置や、運行管理業務を一元化した営業所での運行管理者の柔軟な配置を認める特例の創設などを検討していく。運行管理を巡っては、ことし4月末の告示改正で、事業者間遠隔点呼や業務前自動点呼が認められるようになったが、25年度の同WGでの検討や実証実験などを経て、さらに規制が緩和されれば、事業者負担の大幅軽減につながりそうだ。
現行ルールでは、運転者が対面点呼を受けられるのは所属する営業所の運行管理者または運行管理補助者からのみで、他営業所の運行管理者から点呼を受ける場合は遠隔点呼を実施しなければならない。これに対して、事業者からは、遠隔点呼を展開している営業所間において対面点呼を実施できる状況にある場合には所属外であっても対面点呼を認めてほしいとの声が寄せられていた。そこでWGでは25年度中に、遠隔点呼と併用して、遠隔点呼機器の活用により、遠隔点呼を実施している営業所、事業者間における対面点呼を可能にするための要件を整理し、制度化を進める方針だ。
トラック運送事業者は現在、複数営業所の運行管理業務を集約営業所で一元管理できる。ただし、非常時対応などの観点から被集約営業所でも運行管理者の選任が求められている。そのため、一元化に移行しても全体としての運行管理者の選任者数は増えてしまうといった課題があり、事業者からは柔軟な配置を求める声が相次いでいた。
これを受けて、WGでは「集約営業所と被集約営業所を一体とみなし、全運行管理者の相互の営業所での兼任を認めるようルールを変更することで、全体としての選任者数を抑制する」という素案をまとめた。今後は「運行の安全性が低下しないか」など、ルール改正に向けた素案の妥当性についての検討や実証実験、法令整備の準備を進めていく計画だ。

▲集約営業所と被集約営業所の運行管理者の取り扱い変更の素案(クリックで拡大、出所:国土交通省)
また、WGでは、次世代運行管理システムの標準化にも着手する。具体的には、通信型デジタコの仕様標準として、一定頻度や特定イベント発生時での外部記憶装置(クラウド)へのデータ送信などを求める一方で、運行記録をクラウドに確実に保存することを前提に、耐久性の一部基準を緩和する。それによってタブレットなどを活用したデジタコの実用化を可能にすることで、事業者の導入・運用コストの低減を目指す。
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