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T2、西濃ら5社と自動運転商用便を関東-関西間で

2025年7月1日 (火)

ロジスティクス自動運転トラック開発を手がけるT2(東京都千代田区)は1日、関東-関西間で、自動運転トラックによる幹線輸送の商用運行を同日より開始したと発表した。西濃運輸をはじめ、佐川急便、日本郵便、福山通運、三井倉庫ロジスティクス(中央区)の大手5社が初期ユーザーとして参画する。

同日開かれたメディア説明会で、T2の國年賢事業開発本部長と、西濃運輸の渡辺俊幸運行部運行課参事が登壇。2027年のレベル4(特定条件下での完全自動運転)実現を見据え、24年問題に代表される物流危機を乗り越えるための新たな協業モデルについて語った。

T2國年氏「レベル4で物流を“ともに支える”存在に」

メディア説明会に登壇したT2の國年氏は、まず「レベル4自動運転の技術を活用し、世界最高水準である日本の物流を今必死に支えてくださっている皆様と、ともに支えることを目指している」と会社のビジョンを説明。

▲T2事業開発本部長の國年賢氏

商用運行開始に至った背景として、國年氏はこれまでの技術的な進展を強調。「直線走行だけでなく、車線変更や複雑なジャンクションの走行も安定してできるようになった。先月には神奈川から神戸までの500キロの自動走行を達成した」と報告。特にGPSが届きにくい長距離トンネル内での走行も、カメラやレーダーなどの情報を融合させる技術で克服したという。こうした技術的成熟と、パートナー企業との実証で既存運行と同等の安全性・品質を担保できることを確認した上で、今回の商用化に踏み切ったと説明した。

今後の運行体制については、これまでのエンジニア同乗から、専門トレーニングを受けたドライバーによる「ワンマン運行」に移行することも明らかにした。

関東-関西間の主要拠点結ぶ、具体的な運行ルートも公開

今回の商用運行は、日本の大動脈である関東-関西間の500キロの区間(東名高速道路・横浜青葉IC-阪神高速道路・魚崎出入口)を基幹ルートとして設定している。

初期ユーザーとなる5社それぞれの具体的な運行ルートは以下の通り。佐川急便は、東名高速・綾瀬スマートインターチェンジ(IC)と京滋バイパス・巨椋IC間を結び、同社の基幹ハブである「Xフロンティア」と京都の拠点を接続する。西濃運輸と日本郵便は、ともに東名・厚木ICと京滋バイパス・久御山JCT間を運行する。福山通運は、東名・綾瀬スマートICと名神高速・豊中IC間を、三井倉庫ロジスティクスは東名・綾瀬スマートICと名神・吹田IC間をそれぞれ結ぶ。

運行形態について國年氏は、「現時点のレベル2の段階では、T2のドライバーが各社の拠点から拠点まで、全区間を運行する。一般道は手動で運転し、高速道路区間で自動運転モードに切り替える」と説明。T2自身が一般貨物自動車運送事業許可を取得しているため、各パートナー企業から運送を直接受託する形で事業を展開する。

西濃運輸渡辺氏「ドライバーの働き方改革と輸送力維持に期待」

協業パートナーを代表して登壇した西濃運輸の渡辺氏は、自身もT2の自動運転トラックに試乗した経験を語り、「乗り心地はとても良く、教習所の先生のような安定感。将来、トラックドライバーの補助・フォローになる技術だと感じた」と述べた。

24年問題を前に、労働力の確保と労働時間の短縮が喫緊の課題であるとし、「現状、有人のトラック運行の限界は600キロ程度。自動運転技術は、その先の距離の輸送を可能にし、お客様の求めるリードタイムを維持し続けるための重要な武器になる」と期待を寄せた。

▲西濃運輸運行部運行課参事の渡辺俊幸氏

また、将来的にT2が競合相手になる可能性については、「我々が扱う荷物は、多くのお客様の小ロット貨物を積み合わせる『特別積み合わせ事業』が中心。T2さんが担うのは、より貸切に近い形での拠点間輸送。事業のあり方が異なるため、競合というよりは、我々の事業を助けていただくパートナーだと考えている」との見解を示した。

20社超と追加協議、将来的には四国・九州へ延伸も

商用運行はまず5社5台体制で開始し、運行頻度を週5回程度まで高め、安定的な輸送サービスを提供する。T2は現在、これとは別に20社を超える企業と商用運行に向けた協議を進めており、今後規模を拡大していく方針。27年10月にはレベル4での無人化運行開始をマイルストーンとし、32年には1000台規模の運行体制を目指すとしている。将来的には四国や九州方面への路線延伸も図る計画で、すでに北九州市などとのコンタクトも開始しているという。

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LOGISTICS TODAY編集部
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