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「残業の上限規制撤廃はマイナス」が半数以上

2024年6月18日 (火)

調査・データ東京商工リサーチは17日、時間外労働の上限規制撤廃による経営の影響について、半数以上の企業が「経営にマイナスの影響があった」と考えているとする調査結果を公表した。23年10月の調査からやや意識に改善が見られるものの、多くの企業がコスト増加による利益率の悪化を訴えている。

同社は、24年4月に建設業や運輸業などにも時間外労働の上限規制が適用された影響を探ろうと、6月3日から10日までインターネットによるアンケートを実施。5099社から回答があった。同様の調査は、規制が適用される前の昨年10月にも実施している。

調査結果によると、上限規制が撤廃されたことへの影響について、「マイナス」と答えたのは55.3%で「大いにマイナス」が13.9%、「どちらかというとマイナス」が41.3%だった。企業の規模別では、「マイナス」が大企業で62.9%、中小企業54.4%で、大企業が中小企業を8.5ポイント上回り、大企業ほどマイナスの影響が大きいと考えていることが分かった。

前回10月の調査結果と比較すると、「マイナス」の影響と回答した企業は61.9%から6.6ポイント改善した。大企業は前回68.0%で5.1ポイントの改善、中小企業は前回60.9%で6.5ポイント改善した。

産業別にみると、「マイナス」の割合が最も高かったのが卸売り業の65.8%で、配送コスト上昇への対応や納品スケジュールの見直しを懸念する声が多かった。次いで、建設業64.1%、製造業60.7%、運輸業60.4%と続いた。

前回調査で、運輸業は「マイナス」が72.7%と高かったが、今回は12.2ポイント低下した。「プラス」の影響があったと回答した企業でも、運輸業は9.5%と最も高くなった。これについて同社は「運輸業界では、荷主や元請け業者との交渉や社内体制が整い始めた可能性がある」と見ている。

具体的なマイナスの影響としては、「物流・建設コスト増加による利益率の悪化」が71.4%と前回に続き最も多かった。運輸業では、「稼働率の低下による利益率の悪化」が50.7%で最も高く、「労務管理の煩雑化」も50.0%とほぼ同水準だった。厳格な労務管理が求められるようになり、煩雑化した労務管理業務が負担になっている企業が多いとみられる。

同社は、「上限規制撤廃への対応はこれまで、下請け側の自助努力に任せてきた側面があったが、発注側でも大手企業などを中心に、効率化や負担軽減への取り組みを進める企業も増えている」とし、今後も産業全体で取り組みを進めることが必要だとしている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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