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地域の物流課題の解決に挑む

国交省が「モーダルシフト等促進事業」の募集開始

2025年5月16日 (金)

話題トラックドライバー不足、燃料費高騰などに伴う物流コストの上昇、カーボンニュートラルへの対応──日本の物流業界は今、大きな転換点に立っている。こうした課題の解決に向けて、国土交通省が新たに設けた「地域連携モーダルシフト等促進事業」の募集が5月1日にスタートした。

この事業は、地域の産業振興を担う地方公共団体や企業が連携し、持続可能な物流ネットワークを構築するためのモーダルシフトの取り組みを支援するものだ。

地方のモーダルシフト推進を後押し

「地域連携モーダルシフト等促進事業」の最大の目的は、「新たなモーダルシフト」の実現だ。トラック輸送に依存しがちな国内物流の現状から脱却し、鉄道や内航海運などほかの輸送手段を活用した効率的な物流体制への転換を促す。

特に地方においては、輸送力不足が深刻化しており、自治体や経済団体、企業が一体となって、地域の物流資源を可視化・共有し、物流拠点や共同配送体制を整備することが求められている。国交省ではそうした「地方でのモーダルシフト」の実現に向けた一連の取り組みを全面的に支援(補助)していく方針だ。

「地域連携モーダルシフト等促進事業」に応募するには、まず、地域内の荷主企業、物流事業者、地方公共団体、経済団体などが参画する協議会を組成する必要がある。協議会が間接補助の対象者となり、事務局から補助金の交付を受けるかたちだ。6月9日まで申請を受け付けた後、事務局によって応募事業に対する審査、採択、交付決定が行われる。事業検討・推進(事業素案策定、実証、事業化等) 、協議会・運営といった間接補助事業の実施期間は2026年2月中旬まで。事務局は、協議会の検討支援や他地域とのマッチング支援など、実務的な伴走支援も展開する予定だ。

▲伴走支援イメージ(クリックして拡大

プロジェクトに最大で7500万円を補助

同事業では以下のようなモーダルシフトプロジェクトが補助の対象となる可能性がある。国交省では、事業イメージとして(1)トラック輸送から鉄道や内航海運の利用への切り替え(2)新幹線など旅客輸送の機能を活用した貨客混載での輸送(3)航空機空きスペースの有効活用(4)ダブル連結トラックを活用した共同輸配送 ・中継輸送(5)ドローンによるラストマイル配送(6)自動配送ロボットの活用(7)荷主や物流事業者など複数社による共同輸配送の仕組みづくり──など、複数の事例を挙げている。

補助金は最大7500万円(検討経費2500万円、実証経費5000万円)。検討経費は定額補助で、実証経費には補助率2分の1が適用される仕組みだ。調査分析、協議会運営、拠点整備、設備・機材購入、システム導入など幅広い経費が補助金の対象になっている。

各種タスクに対し検討経費及び実証経費としての補助を予定(クリックして拡大)

また、協議会設立や計画策定をこれから実施する団体も補助の対象とするなど、応募のハードルは決して高くないのも特徴の1つ。審査では、地方公共団体と荷主または物流事業者の参画が必須要件とされるほか、実現性、費用対効果、地域連携、将来性などが評価される。

事務局では、補助事業に関する相談に加え、地域の物流課題全般に関する「よろず相談」も受け付けている。応募を検討中の企業・団体には、まず事務局まで問い合わせしてみることをお勧めする。5月23日には「地域連携モーダルシフト等促進事業」の概要や申込み方法を解説する事務局主催の説明会の開催も予定している。

特設サイト・お問い合わせ

特設ウェブサイト:https://cxhub.jp/regional-modal-shift/

【事務局連絡先】
メール:modalshift_logisticsnetwork@tohmatsu.co.jp
電話:080-7046-7571(平日9時-17時)