
記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「ナカノ商会、ヤマトG初の特定技能ドライバー採用」(2月3日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)
◇
ロジスティクスヤマトホールディングス(HD)傘下のナカノ商会(東京都江戸川区)が、在留資格「特定技能1号」を活用したベトナム人ドライバー3人を採用した。ヤマト運輸が500人規模の大型ドライバー採用を掲げ、FPTグループと連携した長期育成プラットフォームを展開する一方で、ナカノ商会は独自の戦略で先行した。そこには、事業会社ごとに最適化された「人材確保」のリアルな使い分けがあった。

(出所:ナカノ商会)
「経験者枠」に活路を見出したナカノ商会のスピード感
ヤマトHD担当者によると「ヤマトグループ全体で網羅的な取り組みを行うのではなく、各事業会社が必要な人材を個別に確保しているのが現状」だという。ヤマト運輸がドライバー未経験者を対象に、日本語教育から大型免許取得まで最大1.5年をかける長期育成スキームを組んでいるのに対し、ナカノ商会は「ドライバー経験者」の採用に舵を切った。
この判断が、結果的にグループ内でのスピード採用に直結した。ナカノ商会では2025年初頭から面接を進めており、いち早く特定技能試験を突破した3人が26年1月末に入社を果たした。現在、さらに20人が内定しており、彼らはこれから現地で試験を受け、合格後に来日する予定だ。未経験者への教育に注力するヤマト運輸に対し、ナカノ商会は即戦力となる経験者を確保することで、現場への早期投入を優先の選択をした。
「半年」という猶予で挑む中型への外免切替
採用された3人は、6月の本格乗務開始に向けて、日本の運転免許への切り替え(外免切替)に挑む。国内で免許を新規取得するルートを選ぶ企業も増えているが、ナカノ商会はあくまでベトナムでの運転経験を活かす「外免切替」を選択した。
しかし、その道のりは決して平坦ではない。昨今、外免切替試験の審査は厳格化しているが、特定技能外国人が免許を持たずに国内にいられる期間は半年と定められている。つまり、この半年以内に試験に合格しなければならないという時間的制約があるのだ。同社では、まず普通免許への切り替え後に中型免許へとステップアップさせる形で、確実に「日本のドライバー」への道を歩ませる目論見だ。
厚木営業所で支え合う「共生」のコミュニティー
現場の受け入れ体制においても、既存のリソースを有効活用している。今回3人が配属された厚木営業所には、既にほかの在留資格で勤務しているベトナム人社員が在籍している。
新採用の3人は、これら現場の先輩社員の指導を受けながら、日本での生活や業務の基礎を学ぶ。異国の地で働く不安を、同じ母国語と背景を持つ仲間がケアする。この実態に即したサポート体制こそが、特定技能人材の定着を左右する鍵となる。同社は今後、内定者20人の試験状況を見守りつつ、現場での育成実績を積み上げていく方針だ。
「数」より「成長」を、将来の運行管理者を育てる視点
ナカノ商会がヤマト運輸のように最初から数百人の採用に踏み切らず、まずは20人強の採用にとどめた背景には、「ベトナム人人材がどの程度日本で成長できるか」を丁寧に見極め、様子を見ながら慎重に増やしていきたいという意図がある。単に不足するドライバーの頭数をそろえるのではなく、一人ひとりの教育に深くコミットする姿勢だ。
入社したベトナム人ドライバーのタインさんが「将来的には運行管理者資格の取得にも挑戦したい」と語るように、彼らはハンドルを握る以上の高度な業務を担う可能性を秘めている。外国人材が現場の第一線から、管理業務までを担う存在へと成長できるか。その育成の成否こそが、日本の物流業界における「外国人材活用」が真に持続可能なものになるかどうかの、重要な先行指標となるだろう。(土屋悟)
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。


















