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風の株式会社が物流拠点集約、背景に市の支援体制

徳島・三好市、廃校を物流拠点として活用する議案提出

2014年6月12日 (木)
旧佐野小学校(出所:徳島県三好市)

旧佐野小学校(出所:徳島県三好市)

拠点・施設徳島県三好市で、廃校となった旧佐野小学校を物流拠点として活用する取り組みが実現しそうだ。

旧佐野小学校を活用し、全国3か所の物流拠点を集約しようとしているのは札幌市白石区本社の「風の株式会社」で、市が6月議会に提出した計画では同社が建物を無償で借り受ける支援を受け、物流施設への改修費用や光熱費などの経費は同社が負担することとなっている。

同社は現在、北海道伊達市のほか、福島県と岐阜県の3か所に物流拠点を設けており、伊達市では庫内オペレーションも自社運営し、ほかの2拠点は物流事業者に業務を委託。スポーツ用品やアパレル、雑貨商品の企画・製造・輸入・販売を手掛けており、楽天市場やヤフーなどECショップを3店舗開設している。

今回の旧佐野小学校の活用により、既存物流拠点を三好市に集約し、仙台から鹿児島まで翌日配送できる体制を整える。

三好市議会で24日までに決議されれば、7月1日にも市と同社が契約を結び、全国的にも珍しい「廃校となった小学校を物流拠点として活用する」事例が実現する。

■「廃校を物流拠点に」背景に市の手厚い支援体制
背景には、市の廃校活用に対する積極的な支援体制があったようだ。取り組みの中心となった地域振興課の安藤彰浩課長補佐に話を聞いた。

文部科学省が全国の廃校活用を促進するために設けている「みんなの廃校プロジェクト」という取り組みがある。このプロジェクトは、自治体が廃校施設に関する情報を登録し、これを見た企業などの活用希望者とマッチングさせるものだが、実際には情報を登録するだけで廃校活用が進むとまではいかず、三好市では「待ちの姿勢のみでは広がりが少ない」として、独自の取り組みが必要と判断した。

何よりも地元のニーズと理解が重要と考えた市は、廃校周辺の地域住民にヒアリングを実施したところ、「もっと広く公募して地域に新しい風を入れてほしい」と意外にも多様な活用を望む声が多いことを把握。産業団地への企業誘致と同様に募集要項をしっかりと作り込むとともに、地元にとどまらず首都圏などの企業に市の取り組みを知ってもらおうと、東京で2013年1年間に3回の説明会を開催した。

さらに、関心を持った企業を対象に、廃校となった小学校の見学ツアーを実施。安藤氏の読みは当たり、12件の応募が集まった。このツアーに今回、旧佐野小学校の物流施設化を決めた「風の株式会社」の担当者も参加し、市内の廃校を巡った結果、物流拠点の候補物件として2校に絞り込んだという。

ただ、物流施設の開設は地元住民の反対で計画が頓挫するケースも少なくないため、地域振興課は地元説明会で住民に受け入れてもらえるよう、企業側と入念な相談を実施。風の株式会社のケースでも、こうした市と企業側の努力により、地元説明会で7つの審査項目すべてをクリア。

旧佐野小学校を物流拠点化する際には、地元住民から5人の雇用を創出するほか、物流施設として建物すべてを活用するのではなく、一部を多目的スペースとして住民に提供することとなった。

三好市が採択した廃校活用計画は、旧佐野小学校を含めてこれまでに8件あるが、現在も19の廃校で活用計画を募集している。

■問い合わせ先
三好市地域振興課
担当:安藤彰浩氏(課長補佐)
TEL:0883-72-7649

■三好市休廃校等活用事業の募集要項
http://www.city-miyoshi.jp/docs/2014060200018/files/bosyuyoukou20140602.pdf

■風の株式会社のECサイト「モコモコタウン楽天市場店」
http://www.rakuten.ne.jp/gold/f-direct/