ロジスティクス商船三井は5日、三井造船昭島研究所と共同で、船舶の最適トリムシステムを開発したと発表した。
6400台積み自動車船に最適トリムシステムを適用し検証したところ、これまでと比較して最大4%の燃費改善効果を確認した。商船三井では「この燃費削減効果は船舶から排出されるCO2の削減に大きく寄与する」としている。
最適トリムシステムは、同社船長の経験に基づいた船舶の航行姿勢の知見を水槽試験・実船試験を通じて定量的に評価し、乗組員が容易に活用できるようグラフに表したもの。船舶の航行姿勢は船尾トリム状態となるのが一般的だが、三井造船昭島研究所で行った水槽試験の結果、船体を適度な船首トリム状態※にして航走することで造波抵抗が低減することを確認し、実船試験でもその効果を確認したという。
最適トリムシステムは、自動車船以外の船種への適用を含め、同社が推進する次世代船構想「船舶維新」プロジェクトの要素技術の一つとなっており、最適運航システムと組み合わせることで、CO2排出量削減につなげたい考え。
船舶のトリムは、船体の長さ方向の傾きのことを指し、具体的には船首喫水と船尾喫水の差を表す。また、船首トリム状態は船尾喫水に比べ、船首喫水の方が深い状態を指し、船尾トリム状態はその逆を表す。