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近鉄エクス社長、中国事業の再編方針示す

2015年1月5日 (月)

ロジスティクス近鉄エクスプレス(KWE)の石崎哲社長は、年頭あいさつの中で、中国で近鉄中国と北京近鉄の役割を明確にすることなどを柱とした事業再編を行う考えを示した。

同国の国内物流への本格的な取り組みを進める方針。石崎氏の年頭挨拶の要旨は次の通り。

石崎社長の年頭挨拶(要旨)

新興国における景気減速、賃金の上昇、運送原価の上昇が顕著に現れるなど、決して先行きに安心できる状況ではない。

KWEグループの業績は、最終的には15年3月に年度決算を終える近鉄エクスプレス単体と近鉄・パナソニック・トレーディングサービスの結果を待つことになるが、営業収入こそ目標達成の可能性が高いものの、営業利益面では物量増に比例した伸びが見られず、目標達成は決して楽観できるものではない。

しかしながら、現・中期経営計画2年目として掲げた戦略、戦術に関しては、概ね着実に実行されていると思う。海上貨物の取扱い物量は、目標とはかなり乖離があるものの、前年比2桁増を記録し、営業面、業務面でこの事業拡大への意識がグローバルで定着していることは間違いない。

重点品目の取り扱い拡大については、自動車関連で大きな進展が見られた。これにはメキシコ、ブラジル、インドなど新興国へのネットワーク拡大戦略が大いに寄与している。ロジスティクス事業については、将来この事業を収益の柱の一つにすべく、収支管理意識が浸透している。

やるべきことは着実に実行されているとは思うが、まだまだ満足できるレベルではないことは事実であり、それを認識しなければならない。

今年は現・中期経営計画の最終年度にあたる。まず、米州本部は引き続き世界経済を牽引するアメリカを擁する極として、輸出物量拡大に注力すると同時に、最大の物量が動く北米向けの貨物拡大に向けて営業強化し、メキシコ法人についても、重点品目である自動車関連ビジネスの更なる拡大に向けて、その存在を一層高めてほしい。

欧州・中近東・アフリカ本部は昨年非常に厳しい状況だったが、その危機的な状況は脱したものと思われる。今年は改めて飛躍の年となることを期待する。

東アジア・オセアニア本部は何と言っても営業利益面で最大の極で、特に中国の存在は今後も当面変わることはない。その中国では、中心となる2法人、近鉄中国と北京近鉄の役割の明確化を基本方針として、事業再編を行う。それは、今後大きな消費市場として期待される中国マーケットにおいて、国内物流への本格的な取り組みをはかるものだ。また、台湾では昨年開設した大型物流施設を中心に、ロジスティクス事業を大きな収益の柱にする。その他の法人もさらにその存在を高める取り組みを行う。

東南アジア本部は欧州・中近東・アフリカ本部同様、昨年は大変厳しい年だった。しかし、後半には問題点の洗い出し、その解決に向けてのアクションプランの立案、実行を確実に行い、間違いなく復活したと思う。東南アジアは今年ASEANの経済統合がスタートすることから、大きな発展が期待される地域。それをにらんで、我々も数年前からここを重点地域として位置づけ、ハード、ソフト面での強化をはかってきた。今年はその取り組みの成果の刈り取りを始める年。

国内関係会社は昨年大きく営業利益を伸ばした。近鉄・パナソニック・トレーディングサービスはまだ最終結果は出ていないが、6社すべてがすばらしい実績をあげている。

近鉄エクスプレス本体は今、非常に厳しい状況で、輸出物量に回復は見られるものの、それに利益が付いておらず、また輸入についても円安、昨年4月の消費増税後の消費低迷の影響などを受けて、取扱い物量の増加が見られない状況にある。

輸出は直接原価の抑制と売値の改善で、また輸入は取扱い物量の拡大と業務の効率化を推し進めることで、現状から脱してほしい。今、近鉄エクスプレス本体の復活が急務だ。

今年もグローバル・ロジスティクス・パートナーとして海外ネットワーク拡充に努める。新・新興国であるカンボジア、ミャンマーでは、昨年開設した駐在員事務所をさらに一歩進んだ形で、事業展開の強化をはかっていく。また、インドでも既存の法人、合弁会社のさらなる発展を目指した取り組みを行う。