ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

前社長同士が可能性検討、海外展開「話し合いながら」

名糖・Hノオリン経営統合合意会見「合併計画ない」

2015年2月10日 (火)

M&A名糖運輸の林原国雄社長とヒューテックノオリンの綾宏将社長は10日、記者会見し、両社が10月1日付で経営統合することで基本合意したと発表した。

両社が合併ではなく共同持株会社の新設による経営統合を選択したことについて、綾氏は「合併は現時点で計画していない」と述べ、その理由として「どういうふうにシナジーを作っていくかが非常に重要な課題だ。(合併するとすれば)合併を選択した場合に出てくることなる課題に対処しなければならず、実現に時間を要する」と話した。

また、経営統合に至った経緯について、林原氏は両社の前社長が可能性を検討していたと明かした上で、2年前から話し合いをスタートし、昨年10月以降、若手中心の枠組みで具体的な検討を行って決めたと説明した。

▲名糖運輸の林原社長

▲名糖運輸の林原社長

記者会見の要旨は次の通り。

――北海道、中四国など拠点が手薄な地域に対する戦略は。さらなるM&Aを考えているのか。

▲ヒューテックノオリンの綾社長

▲ヒューテックノオリンの綾社長

綾氏関東は密度の高い拠点網を活用し、店舗配送を含めたきめ細かい低温物流サービスを提供しているが、地方は拠点間配送を中心に、地域の物流企業との協力体制を強化している。4温度帯の確立を重視し、M&Aや細かいネットワークを整備することは現時点で考えていない。

――統合後の海外展開は。

綾氏今後も国内事業を中心とすることは変わらない。内外で変化する食品物流環境には対応したいが、現場を第一に考える。

名糖運輸・ヒューテックノオリンの拠点分布林原氏名糖運輸はベトナム倉庫が満杯、庫腹は120%と稼働状況がいい。名糖ベトナムの看板を掲げてから引き合いが増えた。現倉庫は既存建物を活用しているが、近くに土地はあるが、かといって新たに倉庫を建設するとなると、コスト構造が大きく変化する。

運送や新倉庫のニーズは高いが、大きな投資案件は綾氏との話し合いの中で、報告と相談をして決めましょうということで合意している。そういう観点から、ベトナムの次の展開は、ヒューテックノオリン側からアドバイスをもらいながら決めていきたい。ホールディング会社の傘下に設置するであろう海外事業部の活動を見据えて、両社で協議しながら決めていく。

決してこのまま止まるつもりはなく、リスクが高いのに突き進むということもない。

――ヒューテックノオリンはJAグループとつながりが強い。現在も株主に名を連ねているが、今回の経営統合にJAグループの動きは影響しているのか。

綾氏つながりといっても荷主にはメーカー、問屋が多く農協関連が中心になっているわけではない。

――今後の経営体制は。このまま2社が独自に事業を展開していくのか、あるいは合併を視野にいれているのか。

林原氏協議中で4月の計画発表時に詳細を明らかにする。合併は現時点で計画していない。相互の強みを活かし合うのが趣旨であり、合併しないと相乗効果が生まれないとは考えていない。

――経営統合はどちらから声を掛けたのか。

林原氏従来からトップ同士の付き合いの中で、お互いに「外部環境が変わってきた」「これまで通りの事業のあり方ではうまくいかなくなる」という話は出ていたが、どちらともなく。

ヒューテックノオリンの松田靫夫前社長(現会長)から、名糖運輸の中西広明前社長(現相談役)に対して「お互いに経営統合を視野に入れて事業強化できないものか」というやりとりがあったと聞いているが、具体的には2年ほど前から連携の可能性について検討を始めた。

昨年10月から専門のコンサルタント会社に入ってもらい、両社の若手6人ずつを出して、まずそういうこと(経営統合)を考えられるかどうかを話し合ってもらった。綾社長とは、若手から答申されたものが「独自の道を行く」ということであれば、これまでどおりの関係を続けていこうと話していたが、結果的に今日の経営統合の発表を迎えた。

――荷主が大きくなる中で物流企業も大きくなる必要があるということだが、具体的な説明を。

綾氏取引規模が大きくなっている。毎月の動きが平均的ならそれに合わせた仕事に仕方で対処できるが、繁閑差が大きくなっており、規模の拡大と繁閑時期の異なる組み合わせによって補完しあえると考えた。

――新会社の強みはチルドとフローズンにそれぞれ対応できるということだが、それならば、ひとつの会社でチルドからフローズンまで一貫して引き受けられるという方がシンプルであり、業務も引き受けやすいのでは。

綾氏その通りでこれまでのハード、人的資源をいかに効率よく活用できるか、持株会社が事業会社と共同で新たな仕組みを作っていくことが重要。今後はどういうふうにシナジーを作っていくかが非常に重要な課題だ。合併ならすぐその課題が解決できるかというと、合併を選択した場合に出てくることなる課題に対処しなければならず、実現に時間を要する。そこで、今回は持ち株会社が事業会社とともに汗をかいて仕組みを作っていく。

林原氏例えば荷主が店舗を1000店、2000店とどんどん増やしていく中で、首都圏は両社ともに対応できるが、地方は付き合えませんとは言えない。そうすると、物流会社の体力、企業規模がなければできない。物流会社は大きい方がいいとつくづく感じている。