ロジスティクスフィジカルインターネットセンター(JPIC)は27日、都内で「CLOカンファレンス2025」を開催した。
昨年度は「CLO協議会」開催を通して、CLO(物流統括管理者)の職能や企業の取り組み事例などを物流業界で共有し、来年4月のCLO選任に向けた支援に取り組んできた。新年度最初となるカンファレンスは広く議論を公開し、これまでのフィジカルインターネット実現への活動と合わせた現在地が確認されるとともに、新たな概念「LPD」(Logistics Producer)に関する議論を本格化する場となった。
冒頭JPIC理事長の森隆行氏からは、フィジカルインターネットの基本概念や動向が紹介され、そこでCLOが果たすべき役割とともに、「物流は所有からシェアの時代へ」変容していることが共有された。続く講演には、経済産業省商務サービスグループ消費・流通政策課長兼物流企画室長の平林孝之氏が登壇。省令におけるCLOの規定案を解説するとともに、CLOの担うべき外交機能によるサプライチェーンの変革、特に「着荷主の行動変容」などが呼びかけられた。
「企業成長を加速するSCM改革とCLOに求められるもの」と題したパネルディスカッションには、イオングローバルSCM代表取締役社長の山本浩喜氏、三菱食品常務執行役員SCM統括・CLOの田村幸士氏、野村不動産都市開発第二事業本部物流事業部副部長の宮地伸史郎氏、ヤマト運輸取締役会長の小菅泰治氏がパネリストとして参加、野村総合研究所シニアチーフストラテジストの藤野直明氏がモデレーターとして議論が深められた。

▲「CLOカンファレンス2025」パネルディスカッションの様子
この議論の重要なテーマとなったのが、荷主企業のCLOとともに、CLOを支える社外パートナーとなる新たな概念「LPD」(Logistics Producer)である。荷主企業のCLOに対して、物流サービス提供企業の責任者であるLPDがカウンターパートとして機能し、CLO、LPDが対等なパートナーとして、それぞれ物流革新に取り組む仕組みが検証された。
CLOとしての観点で語られた今後の課題として、山本氏からは需要予測など計画的な物流体制への移行や標準化の推進、田代氏からは発・着を兼ねる荷主企業として可視化と最適化の推進があげられ、サプライチェーンでCLOとして目指すべき方向性が示された。
一方、LPDの観点として、宮地氏からは施設の大型化だけではなく共同化やエコシステム化、物流関連ベンダーの企業間共創プログラム運営について、小菅氏からはサステナブルな物流構築に向けてオープンプラットフォームの構築による混載や共同化の推進など、CLOを後押しするそれぞれの多様な活動が紹介された。LPDとCLOとの連携がどうあるべきかなど、まだ新しいLPD像をより具体化するための議論も行われるとともに、オープンな場でCLO、LPDとして議論に加わる事業者が拡大することで、最適なマッチング機会も増やしていかなければならないなどの意見が交わされた。
JPIC事務局長の奥住智洋氏は、今年度の「CLO協議会」開催も含めたJPICの活動方針について説明するとともに、改めてCLOとLPD連携によるサプライチェーンマネジメント戦略の検証が今後の重要テーマになると明示。水平連携、垂直統合、可視化などフィジカルインターネット実現に関連する幅広い領域で、CLOだけではなく、物流事業者、サービスプロバイダー、SIerなどのLPDも交えた議論の場を広げていくことの重要性が提起された。
なお、JPICのCLO協議会をきっかけに、CLO連携をサポートする試みも盛んになっており、7月18日に開催される「第1回CLOサロン」でも、JPIC奥住氏の講演が予定されている。
日時:2025年7月18日(金)12時-16時(予定)
会場:野村コンファレンスプラザ新宿 コンファレンスB(新宿野村ビル2階)
参加費:無料(要事前申込)
定員:80人限定 ※先着順
申込期限:2025年7月16日(水)16時
主催:CLOサロン事務局、LOGISTICS TODAY
協賛:一般社団法人フィジカルインターネットセンター、野村不動産
申込:https://www.logi-today.com/797021
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