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三菱重工、下関造船所の機能を強化

2011年7月7日 (木)

ロジスティクス三菱重工業は、下関造船所(山口県下関市)江浦工場で進めてきた設備近代化工事を完了し、6日現地で竣工式を行った。一連の改修を締めくくる工事として、吊り上げ荷重300トンの大型ジブクレーンを設置したのを機に実施したもの。これにより、下関造船所の得意機種である国内船主を中心とした内航フェリー、RORO船、高速船や特殊船など高付加価値船の生産性向上につなげ、コスト競争力の強化を図る。

 

江浦工場内の船台に設置されたこの300トン大型ジブクレーンは、老朽化したクレーン4基の廃却に伴い、新たに2基のクレーンを新設(300トン、150トン)したうちの一つ。長さ約186メートル、幅約53メートルの同船台では、2010年10月には隣接する第一ドック埋め立て跡地の一角に地上総組エリアを設け、平地で設備が整った地上作業の割合を増加させることで、作業の効率化を図ってきた。

 

今回のクレーン設置でブロックの搬送能力が強化されたことにより、船台作業の前工程となる大組立作業の能率がさらに向上。この設備近代化工事と各種業務改善などにより生産性の15%向上を目論む。

 

下関造船所は国内の内航船、官公庁船を中心としたマーケットで事業を展開しており、主要競合先は国内中型船舶建造ヤード。一連の設備刷新と各種改善を推し進め、三菱重工の総合技術力も武器に、厳しい受注環境下でも競合他社に打ち勝てる体制を目指す。

 

下関造船所江浦工場では、2007年10月に江浦工場にアルミ高速船用の新しい加工・組立工場を新設し、巡視船、漁業取締船などアルミ船を対象に生産性の向上、建造能力の拡大をはかるなどの近代化を進めてきた。また、2010年10月には第一ドックの埋め立て跡地に、総組エリアと並列したブラスト・塗装工場を新設。この工場は、空調設備や防塵システム、ブロック移動装置などを備えており、IMO(国際海事機関)の新塗装基準に対応して、バラストタンクの下地処理から塗装までを安定した環境で行える体制を整えている。

 

同社は、2010年度から5年間の中期経営計画(2010事業計画)の中で、船舶・海洋事業の新事業戦略として、収益・コスト構造の改革加速と大型プロジェクト・新分野製品の強化に取り組んでいる。

 

下関造船所では今回、一連の設備近代化が完了したことにより、高効率な運営体制をさらに追求。得意とする内航船や特殊船の競争力を一層高めていくとともに、環境対策など新しい付加価値を持つ船舶にも力を注いでいく。