ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

史上最速で北極海北東航路が開通、ウェザーニューズ調べ

2011年8月8日 (月)

話題8月5日北極海航路の状況と、これまでの開通期間(Global Ice Center調べ)ウェザーニューズのグローバルアイスセンターは8日、「地球温暖化による気温、海水温の上昇傾向を背景に、北極海の海氷融解が史上最速ペースで進んだことにより、8月5日にアジアと欧州を結ぶ海のルートである北極海北東航路(ロシア側)が開通した」と発表した。平年より一か月早く、史上最速での開通となる。

 

近年、地球温暖化の影響により北極海の海氷が減少傾向にあり、北極海域での資源の開発、輸送が活発化しつつある。北極海航路が開通すれば、スエズ運河を通る場合に比べ、アジア-欧州の航海距離が3分の2になり、世界の物流に大きな影響を与える。

 

同社グローバルアイスセンターは、全世界の海氷を常時監視・把握、解析、予測することにより、地球温暖化の影響で減少していると言われている海氷の状況をリアルタイムでモニタリングするとともに、海運会社の北極海域をはじめとする氷海の運航を支援している。また、来年には、北極海をはじめとした世界中の海氷を高頻度でモニタリングする独自衛星「WNI衛星」の打ち上げを予定している。

 

北極海の海氷域は、冬に凍って拡大し、夏に解けて縮小するという季節変化を繰り返しているが、夏の最小面積が年々減少傾向にあることがわかっている。この傾向はここ数年で顕著に現れており、地球温暖化の影響と考えられている。今夏も、北極海の海氷は早いペースで減少している。

 

グローバルアイスセンターの解析によると、7月の平均海氷域面積は703万平方キロメートルで、これまでの最小であった2007年をわずかに下回り、7月としての最小面積を更新した。今年の海氷の特徴は、東半球側(ロシア側)での融解が進んでいること。

 

これにより、8月8日には、ロシア沿岸付近に残っていた海氷が融解し、北極海北東航路が全面的に開通したことが、衛星データの解析によって確認できた。北東航路の開通は昨年に続き2年連続で、史上4度目の開通。これまでの開通開始時期は8月下旬から9月中旬頃だったが、今年は8月初旬というこれまでで最も早い時期の開通となった。

 

今年の海氷がこれほど減少している理由としては、地球温暖化による気温や海水温の長期的な上昇傾向を背景として、北極海上の風による海氷の流れが、海氷の融解を促すパターンになっていることが挙げられる。特に、北東航路側のラプテフ海付近では、冬から春にかけて海氷が散らばる傾向にあり、いつもより薄い氷が広がっている可能性が高かったために、夏の融解が例年以上に進むことが、4月までのデータを元に予測されていたという。

 

北極海の海氷は9月まで減少を続け、その間、北東航路の開通は維持される見通し。開通開始時期が早いため、開通期間もこれまでで最長となることが予想される。また、例年9月に記録される今年の最小海氷域面積は、過去最小であった2007年を下回る面積となる可能性もある。

 

■ウェザーニューズのグローバルアイスセンターが提供する北極海の海氷と北極海航路についての最新情報
http://weathernews.com/GIC/