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国交省、過労対策で行政処分基準引き上げ

拘束時間違反1件でも車両停止、7月から処分強化

2018年4月2日 (月)

話題国土交通省はトラック、バス、タクシー事業者における過労防止対策として、7月1日から行政処分基準を引き上げる。厳しい車両の使用停止処分を受けやすくなると同時に、処分を受けた場合の「ダメージ」がより大きくなる。

月間拘束時間などの違反が1件でもあったり、健康診断未受診者か社会保険への未加入者が「2人」いたりすれば車両の使用停止処分を受けることになる。

具体的には「乗務時間等告示順守違反」が確認された場合、現行制度では未順守が5件以下の場合は警告、6-15件以下で延べ10日間(10日車)の車両停止、16件以上で延べ20日間の車両停止処分となっているが、改正後は現行制度をそのまま残しながら、「1か月の拘束時間と休日労働の限度に関する違反」があった場合は「別立て」の形で、未順守が1件でもあれば10日車、2件以上で20日車の処分を行う。

また、現行の健康状態の把握義務違反では、「把握不適切50%以上」で10日車の車両停止対象となるが、改正後は「健康診断未受診者2人」で20日車、「3人以上」で40日車へと処分の量定が引き上げられる。社会保険への未加入についても、「一部未加入」で10日車、「全部未加入」で20日車」となっている現行量定を改め、「未加入2人」で20日車、「3人以上」で40日車と厳しくする。

このほか、過労防止対策を強化する取り組みとして、記録の改ざん・不実記載といった「労働時間を管理する点で問題がある事項」と虚偽届出の処分を強化し、帳票類の「すべて保存なし」については「すべて記録なし」と同じ処分量定に統一する。

さらに、車両使用停止処分を受けた場合の「ダメージ」がより大きくなるよう、停止する車両数の割合を「最大5割」へと引き上げ、処分の実効性を高める効果を狙う。

例えば、「配置車両数5台」の営業所で「使用停止100日車」の処分を受けた場合、現行制度では所属するトラック「1台」のみが停止対象となるが、改正後は「最大5割」へと処分量定が引き上げられるため、「2台」が停止対象となる。また「配置車両数10台」の営業所が「150日車」の停止処分を受けると、現行は「2台×75日」だが、改正後は「5台×30日」となる。

これらに加え、トラック事業者のコンプライアンス徹底を図るための措置として、トラックの適正化事業実施機関であるトラック協会の巡回指導で法令未順守事項が多く、「改善指導を受けたにも関わらず改善が図られない」場合や、「定期点検の実施」「健康診断の受診」「社会保険等の加入」が継続的に守られていないトラック事業者に対し「重点的な監査」を行うこととする。