
ロジスティクス海洋立国懇話会(会長・武藤光一氏)、山口県内航海運組合(理事長・井上清孝氏)、大島商船高等専門学校(校長・藤本隆士氏)は8月10日から11日にかけて、練習船「大島丸」による小中学生対象の1泊2日体験航海を実施した。3回目となる今回は、1都8県から16組32人が参加した。
実施期間中は停滞する前線の影響で記録的な大雨となり、線状降水帯が相次いで発生した。「山陽本線」や「山陽新幹線」も運行を取りやめるなど交通機関への影響が発生したため、当初予定の18組36人のうち2組が参加を断念したが、残りの参加者でほぼ予定通りのスケジュールを実施した。
参加者の内訳は小学生5人(女子2人)、中学生11人(女子2人)の計16人とその保護者。東京都、広島県、福岡県、山口県、兵庫県、香川県、長崎県、岩手県、宮崎県から参加者が集まった。
体験航海は「下関港23号岸壁」から出港し、雨と霧で視界の悪い中「関門海峡」を見学した。安全教育では総員退船訓練を雨天のため室内で実施し、救命胴衣着用訓練や救命筏の非常食試食を行った。

▲救命胴衣着用訓練のようす
船内見学ではブリッジと機関室を見学。参加者は初めて見る機器に見入り、船橋では周囲の船舶に驚く様子が見られた。
講義プログラムでは、1日目に山口機関長による「船がすすむひみつ」と井上理事長による「内航海運について」を実施。2日目は森隆行流通科学大学名誉教授による「海の大切さを知り、海の豊かさを守ろう!」、田中康仁大阪商業大学教授による「船と商い」、清水悦郎東京海洋大学教授による「自動運航船(見張りの自動化)の基礎知識」の3講義を行った。
講義後の自由時間では、山口機関長から商船高専の受験について説明があった。「商船高専も進路の選択肢にあったが決め切れていなかった。体験航海に参加して受験することに決めた」と話す中学3年生もいた。
協力企業の日清食品はクイズ大会とビンゴゲームにグッズを提供し、夜食に「カップヌードル」と「カレーメシ」を差し入れた。悪天候で星空観察はできなかったが、山口機関長による「フェンダーストラップ」作り教室が開催され、全員が参加した。
実施体制は海洋立国懇話会と山口県内航海運組合が主催、大島商船高等専門学校と日本内航海運組合総連合会が共催、中国運輸局山口運輸支局と大島商船高専地域連携交流会が後援した。
海洋立国懇話会の理事でもある森名誉教授は「記録的な悪天候という困難な条件下での実施となったが、参加者は満足して体験航海を終了した。中学生が商船高専への進学を決意するなど、具体的な進路選択への影響も見られ、次世代への海運業界の理解促進において意義のある取り組みとなった」とコメントした。
同体験航海は小中学生に船や海の大切さを知ってもらうことを目的として継続実施されており、海運業界の人材育成と業界理解の促進を図っている。
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