調査・データ住友商事、セイノーホールディングス、大新東(東京都江東区)、REA(東京都中央区)は12日、共同で国内初の産官学連携によるAIオンデマンドシステムと貨客混載を組み合わせた地域モビリティサービス「Mile One(マイルワン)」の実証実験を10月1日から山口県下関市豊田町で開始すると発表した。
同実証実験は国土交通省による「共創モデル実証運行事業」の採択を受けて実施する。日本全国で公共交通の利用者減少や物流ドライバー不足が進み、サービス維持が困難になっている現状を受け、買い物や通院といった日常の移動手段が限られ、住民生活や地域経済に影響を及ぼしている課題の解決を目指す。
マイルワンはAIを活用したオンデマンド交通システムと、旅客・貨物を同一車両で運ぶ貨客混載機能を組み合わせた新しい地域モビリティサービスだ。AIが利用者の予約に対してリアルタイムで最適な配車を担い、少ない車両とドライバーでも効率的な運行を可能にし、持続可能な地域サービスの提供を実現する。
下関市豊田町では現在4路線の「生活バス」が電話予約型で時刻表に沿って運行している。高齢者をはじめとする多くの住民にとって使い勝手の良い公共交通にするため「AIオンデマンド機能」を導入。免許返納や高齢化で買物弱者が増えている現状を踏まえ、同じ車両を活用してスーパーマーケットの商品などを地域住民の自宅に配送する「貨客混載機能」も導入した。交通と物流を一体化することで、移動と買い物の両面から日常生活を支える新たなサービスモデルの構築を目指す。エリア外への移動や、より個別ニーズに沿った移動、配送は既存事業者と交通・サービス連携することで利便性の向上を図る。
実証期間は10月1日から26年3月31日までの6カ月間を予定している。豊田町を対象としたこの取り組みを皮切りに、今後は全国への展開も目指す。下関市が事業実施主体・運行主体となり、冨士第一交通が運行事業者として下関市より委託を受ける。住友商事は全体統括、マイルワンサービス/貨客混載AIオンデマンドシステム構築を担当する。セイノーHDは物流スキーム構築を担い、各地で実施する買物支援、貨客混載の実績を踏まえ、運行のサポートおよび利用者促進、配送のアドバイスなどを提供する。大新東は人流スキーム構築を担い、各地で進めているデマンド交通実績を踏まえ、運行のサポートおよび利用者促進、配車システム運用のアドバイスなどを受け持つ。REAはAIオンデマンド配車システムの開発・保守・運用を担当する。
協力機関として下関市社会福祉協議会が住民周知、利用促進を、下関市立大学が効果測定協力をする。豊田下児童クラブ/西市児童クラブは車両ラッピングデザイン協力を担当する。買い物支援連携ではコープやまぐち(ここと新下関店)、ゆめマート北九州(ゆめマート豊田)、丸久(サンマート豊田店)が参画し、山口県庁は他自治体への展開を支援する。各組織の連携により、地域住民の声を生かした実証の運営体制を構築している。
本プロジェクトの一環として、山形県遊佐町では3月より、地元スーパーマーケット「グリーンストア」と連携した民間事業モデルを実証実験している。買い物を希望するお客様を送迎しながら、空き時間と車両のスペースを利用して、ネットスーパーの商品や法人向け商品を貨客混載で配送し、買い物環境の課題解決に取り組んでいる。こうした先行事例で得た経験を生かし、下関市での産官学連携による共創モデルの構築につなげる。
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