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ヤマト、法人引越契約の8割近い2640社で不適切請求

2018年7月24日 (火)

話題ヤマトホールディングスは24日会見し、子会社「ヤマトホームコンビニエンス」が法人向け引っ越しで“不適切な請求”を行っていたことを受けて社内調査を行った結果、過去2年間に引っ越しサービスを提供した法人3367社のうち、8割近い2640社でも同様の不適切請求が行われていたことが判明したと発表した。件数ベースではおよそ12万4000件の4割弱(4万8000件)が該当し、不適切に請求した金額は法人契約で売り上げた170億円の1割に相当する17億円に達した。

こうした事態を受け、ヤマトホールディングスは外部の専門家による調査委員会を設置し、さらに詳細な調査を行うとともに、ヤマトホームコンビニエンスに社長直轄の事業構造改革推進室を設けて再発防止策を策定。7月23日までに、不適切請求先の法人顧客すべてにデータを突き合わせて行った調査結果の報告と謝罪を終えたとしている。

調査委員会は8月中に詳細な調査結果と原因の究明、抜本的な再発防止策の有効性評価をヤマトホールディングスに報告する予定で、「調査委が有効と認めた再発防止策が機能を開始するまで」の期間、ヤマトホームコンビニエンスは法人との新規契約と新規受注を中止する。

これまでに同社は、法人顧客から受注した引越サービスの請求が実際の作業内容に基づき適切に行われていたかを確認、検証するため、ヤマトホールディングスとヤマトホームコンビニエンスの社員500人体制で22日間にわたって全案件を対象とした社内調査を実施。

調査は顧客に提出した見積書と請求書の控え、システム上に保管している実際の作業量て?ある「作業連絡票」のデータを付け合わせ、それぞれの内容に齟齬(そご)がないか、個々の案件ごとに照合するとともに、ヤマトホームコンビニエンスの全国の地域責任者に聞き取り調査を実施した。調査対象期間は、実作業量データを保管している過去2年間と直近の2か月を加えた2016年5月1日から2018年6月30日。

不適切請求が行われた背景については、「(引越作業は)当初の見積りから家財量が増減したり、付帯作業の要否が変化することが多く、法人顧客が事前に了解した見積金額と実作業に差分が生じることがある」とし、本来は「実作業に即した金額を請求するのが基本ルール」と説明。

しかし今回の調査では「全12万4000件の4割がこの基本ルールを逸脱し、見積額をそのまま請求していた」ことが発覚。その理由として「実作業に即した金額を請求するという基本ルールが全社に周知、徹底できていなかったこと、またルールを順守するための作業フローとチェック機能に大きな不備があったことによるもの」との考えを示した。また、個人と直接契約する引越サービスでは「同様の事態が発生する可能性は極めて低い」との見ていることも明かした。

両社では6月28日以降、(1)契約条件を正しく確認した上で、必ず担当者が訪問の上、見積書を作成し、その内容を引越客と発注元の法人担当者に確認してもらう(2)引越作業終了後、実際の作業結果を引越客、法人担当者に確認してもらい、実作業の金額と当初の見積金額に差分が発生した際は、実作業に即した金額を請求する(3)これらの手順の確実な運用をすべての案件についてヤマトホールディングス本社がチェックするーーことを当面の再発防止策として開始。

また、抜本的な再発防止策として、ヤマトホームコンビニエンスに設置した事業構造改革推進室で、(1)基本ルールの周知と再徹底(2)法人向け引越サービスの商品構成の抜本的見直し(3)見積りルール、精算ルール、運用体制・監査体制の再構築(4)社員の教育、スキルアップのための認定制度の導入(5)ICTの活用による運用全体の可視化ーーなどの抜本的な再発防止策を策定中だという。調査委から調査結果の報告を受けた段階で、社内処分も実施する。