ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

秩父鉄道が貨物運賃33年ぶり値上げ、10月から10%

2018年9月3日 (月)

話題秩父鉄道は、10月1日から鉄道貨物運賃を10%引き上げる。同社が貨物運賃の値上げに踏み切るのは1985年以来33年ぶり。

同社は石灰石輸送を中心に鉄道貨物輸送を手がけてきたが、輸送量は長らく減少傾向を辿り、最近は200万トンを切る水準となっている。ピーク時(1979年)の874万トンから比べると5分の1近くまで減少していることとなり、8月10日に公表した4-6月期の決算短信では前年同期比で輸送量が8.7%減、金額ベースでも8.4%減と、減少傾向に歯止めがかからない。

とはいえ、鉄道貨物は前3月期実績で鉄道事業収入の4割近くを占める収益源であることに変わりはなく、同社は値上げによって「質の高い労働力の安定的な確保などの必要な対応」を行う。

今回の値上げ対象となるのは、発着駅間の運賃計算キロ程に応じた賃率に、輸送する貨物の重量に基づく運賃計算トン数を乗じた「基本運賃」で、荷主が実際に支払う最終的な運賃は輸送条件などに応じた営業割増・割引によって変動する。

基本運賃を算出する基礎となる貨物賃率表は1985年4月に改定して以来、金額が据え置かれてきたが、輸送の安全確保に対する社会的ニーズが高まる一方、人口減少に伴う労働力不足の恒常化など経営環境が大きく変化していることから、同社は「安定的に事業を運営し社会的な役割を果たしていくためには、労働環境の改善をはじめ将来を見据えた対応が急務」だとしている。