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日本郵船、脱炭素化目指す新コンセプト船発表

2018年11月14日 (水)
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話題日本郵船は14日、船舶の脱炭素化に向けたイノベーションを結集した新コンセプト船「NYKスーパーエコシップ2050」を発表した。

新たな中長期環境目標として設定した「温室効果ガス(GHG)排出量を2015年比で30年までに30%削減、50年までに50%削減」の達成に向け、MTIとフィンランドの船舶技術コンサルタント会社「エロマティック」と共同で、09年に発表した「NYKスーパーエコシップ2030」の要素技術を見直し、「グループ企業理念を具現化する新たなコンセプトシップ」として考案した。

NYKスーパーエコシップ2050は、同社が主力事業としている自動車専用船をモデルとした「2050年のコンセプトシップ」で、船体重量の軽量化や船型の最適化で船体の摩擦抵抗を低減。燃料電池を利用した電気推進や高効率の推進装置の採用などにより、必要なエネルギー量を一般的な船舶に比べて70%少なくすることが可能だという。

太陽光パネルを搭載し、燃料には化石燃料の代わりに再生可能エネルギー由来の水素を使用することで、二酸化炭素(CO2)排出ゼロ(ゼロエミッション)を実現する。

船体構造には「数学的・力学的に最適化された形状」を採用し、素材に複合材などを使用することで軽量化を図る一方、船体の安定が損なわれないようコンピューター制御によるジャイロスタビライザーなどの動揺軽減装置を導入する。

また空気潤滑システムにより、空気を船底に送り込んで泡を発生させて海水の摩擦抵抗を低減。停泊時には船体清掃ロボットによるクリーニングを施し、船速の低下を防ぐほか、従来のプロペラではなく、複数のフラップ状のフィンをイルカの尾の動きのように動作させることで推進効率を高める。

保守整備面では、船体の状況をデジタル上に再現するデジタルツイン技術により、陸上専門家によるリアルタイムな分析、事故や不具合を未然に防ぐ最適な整備計画を立案できるようにする。

今後はNYKスーパーエコシップ2050のコンセプトに採用した省エネ・温室効果ガス削減技術の開発と継続的な実船採用に向けて取り組み「企業価値・社会価値の持続的創出を目指す」としている。