ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

東京2020、物流優先駐車場は事前広報・周知に課題

2019年12月13日 (金)

国内国土交通省、東京都、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の3者は13日、東京2020大会会場周辺の渋滞抑制を目的に実施した「物流車両優先の予約専用駐車場」について実証実験の結果を公表した。

▲物流優先の案内あり

この取り組みは、空き駐車場を求めて移動する「うろつき交通」を抑制するためのもので、11月13・14日に国立代々木競技場周辺の「タイムズ原宿第2駐車場」と「リパーク神南第4駐車場」の計31マスで実施。終日予約・半日予約・時間帯予約の利用状況と、料金看板に「物流車両等優先」の案内あり・なしで影響が出るかどうかを検証した。

▲(出所:国土交通省など3者)

結果、物流優先の案内がない「タイムズ」は、終日予約用の5マスが両日ともに全て埋まったが、時間帯予約用の6マスは、両日合わせて36枠中12枠の利用に留まった。一方、物流優先の案内がある「リパーク」は、終日予約用の10マスが両日ともに2マスの利用に留まり、半日予約に至っては40枠中1枠の利用だけだった。

また、事前調査との比較では、実験日前週の11月6・7日の利用台数が155台で、およそ33台が物流車両だったのに対し、実験当日の11月13・14日の利用台数は27台で、およそ11台が物流車両だった。

1週・2日間の比較ではあるが、結果として物流優先の案内がある駐車場はほとんど利用されず、全体として物流車両の利用も減少したことから、一般車両の利用を制限する意味では一定の効果をあげたが、肝心な物流車両の利用促進には課題が残ったといえる。このままでは、駐車場の売上げに関わるため、協力を申し出る駐車場事業者が減少するおそれもある。

物流関連の利用者からは、「大会期間中に駐車場を予約して利用できる取り組みはありがたい。是非進めてほしい」「4トントラックなどの大型車両を使用するため、商業地域で駐車できるスペースがあるとうれしい」などの取り組みを歓迎する声があがった一方で、「広く取り組みをアナウンスしてほしい」との声もあがっており、今後はこの取り組みの事前広報・周知が一つの課題といえそうだ。

取り組みを進める3者は、駐車場の利用状況に応じて柔軟に予約時間帯を変更する仕組みや、事前広報の改善・強化を検討するとしている。