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船員確保へ日鉄物流と荷主が本腰、練習船竣工

2020年3月5日 (木)

ロジスティクス日鉄物流は5日、内航船員の育成を目的に建造していた実務型練習船を3月末に竣工する、と発表した。船員の確保に向けて、物流会社と荷主が本腰を入れてこの問題に取り組む。

509総トン型の鋼材貨物船として竣工するこの練習船は、通常であれば1600トンの貨物を積載できるが、最大で5人の練習生に対して快適な居住空間を提供するために、100トンの積載量を犠牲にして12室の船室を確保。この決定に、積載効率を高めたい立場にある荷主も賛同し、協力を申し出た。

防音・防振・遮熱機能をもった各船室には、セパレートエアコンと無線インターネットが配備され、共有設備には浴室1室、シャワー室2室、トイレ3室のほか、座学用の教室やミーティングルームとして大人数が集まれる食堂を用意。また、練習生の業務や生活をフォローするために、船長経験のある同社のベテラン船員が専属指導員として乗り込み、船長や機関長と一体となって船員の育成に取り組む。

同社は今後、この練習船を協力会社である140社にも開放することを明らかにしており、食費や教材費といった実費のみで受け入れることで、業界全体の問題解決を目指す。取材に対し日鉄物流の担当者は「船員の減少と高齢化が進み、内航海運の担い手不足はトラックドライバー以上にひっ迫している。荷主の理解を得ながら船員を育成できることは画期的なこと。この取り組みで少しでも問題解決に貢献できれば」と話した。

海技免状を取得して船員となるには、4.5か月の講座受講と6か月の乗船勤務経験が必要だが、同社が2018年度に導入した「若年船員育成支援制度」では、海技学院の受講料などの一部費用を同社が負担する。4月中旬から練習生を船に受け入れ始め、年間5人の船員輩出を目指すという。

(出所:日鉄物流リクルートサイト)