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三菱ケミカル・日本トランスが化学品のJIT物流確立

2020年3月16日 (月)

拠点・施設三菱ケミカル物流と日本トランスシティは13日、両社共同出資の四日市ケミカルステーション(三重県四日市市)が、化学品のジャストインタイム(JIT)物流を可能とするサービス体制を整えた、と発表した。

▲四日市ケミカルステーション

サービスの中心となる四日市ケミカルステーションは、一定の温度で凝固してしまう化学品を大・中・小さまざまな容器に移し替えるために必要な加温設備で、3社は同施設とタンクコンテナを活用して「必要なモノを必要な時に必要な量だけ」調達できるJIT物流サービスを提供する。取材に対し、三菱ケミカル物流の担当者は「より細かな調達計画を立てられるため、使用頻度の少ない化学品ほどメリットを感じやすい」と話した。

▲日本トランスシティがタンクコンテナを保管している様子

例えば、月100トン使用する化学原料の場合、これまでは加温設備をもった油槽船で500トンを輸入後、大型保温タンクで5か月間保管しながら保温ローリーで納品していたが、これを20トンタンクコンテナで輸入後、日本トランスシティの敷地で保管し、必要に応じて同ステーションで加温してそのまま納品する形に切り替える。

こうすることで、大型タンクの保温にかかっていたコストと環境負荷を削減し、着色や気泡混入などの保温に伴う品質低下のリスクを抑えることができる。

▲トレーラーによる搬入の様子

また、国内製造の原料調達では事業継続性の観点からも同施設の活用が広がる。例えば、中京圏のメーカーが関東から原料を取り寄せる場合、これまでは関東でタンクコンテナを加温してから鉄道輸送していたため、内容物が冷めて凝固しないよう綿密に納品計画を立てる必要があったが、これをメーカー近くの同施設で加温して納品する形に切り替えることでフレキシブルな原料調達を可能とするほか、自然災害などで鉄道輸送が停滞した場合でも凝固により納品できないといった事態が発生しなくなる。

▲四日市港の利用優位圏(出所:四日市港利用促進協議会)

三菱ケミカル物流と日本トランスシティは、新名神高速道路の延伸と東海環状自動車道の開通による他地域への交通利便性向上や港の利用補助金などにより、今後ますます四日市港の優位性が高まると見ており、三菱ケミカル物流の担当者は「3社で協力して新たな顧客の獲得につなげる。四日市で需要が確認されれば、他地域への展開も検討していく」と話した。