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消毒液の優先配布、医療・福祉・物流の連携問われる

2020年3月27日 (金)

話題政府が開始した消毒液10万本の優先配布について、福祉関係者から「自宅で医療的ケアを必要としている人たちに確実に届くのか」と不安視する声があがっている。

▲政府調達の消毒液(出所:経済産業省)

政府は25日、事務用品・医療介護用品などのデリバリー事業を手掛けるアスクルの物流拠点を通じて、各都道府県に8000本の消毒液を発送。アスクルは残る9万2000本について「政府がメーカーから調達でき次第、全国の医療機関・介護施設などに配送する」ことを明らかにしている。背景には、消毒液の使用が欠かせない人工呼吸器などを使用している医療機関・介護施設・家庭で、医療介護用品が不足している現状がある。

(出所:全国医療的ケア児者支援協議会)

これについて、日常生活に医療が必要な子ども「医療的ケア児」など、児童福祉を支援するNPO法人フローレンス(東京都千代田区)の黒木健太氏は「都道府県では自宅で医療を必要とする人を細かく把握しきれていない。医療的ケア児だけで2万人いる上、成人している医療的ケア者もいる。本当に必要としている人たちに消毒液が届けられるまでに時間を要するのでは」と指摘する。

こうした事態を前に、医療的ケア児の家族による当事者団体「全国医療的ケア児者支援協議会」は23日、大手物流会社傘下で食品配達事業や見守り活動を手掛けるココネット(東京都中央区)、フローレンス、村上財団とともに医療介護用品の無償配送を発表。厚労省・経産省から提供を受ける4500本の消毒液のほか、一般募集している消毒液・消毒ジェル・アルコール綿・マスクの寄付品を、ココネットが村上財団の配送費用支援を受けて必要な家庭に配送する。

▲ココネットの配送の様子(出所:同社)

具体的には、同協議会が寄付者と寄付先を取りまとめ、ココネットが物流拠点で提供品の在庫管理や仕分けを行い、全国800台の軽貨物車で各戸への配送につなげるという。

フローレンスの黒木氏によると、すでに70人から寄付の申し出があり、実際に拠点に届いているものもある。しかし、必要としている家庭は現時点で300戸あり、同協議会が実施した緊急アンケートでは「このままでは、ネイルアートで使っているエタノールか、ウォッカで代用するしかない」といった切実な声も上がっている。

黒木氏は、政府が配布を開始した10万本の消毒液について「私たちの取り組みと連携できるのではないかと考えている。厚生労働省や医療機関などに働きかけをしていきたい」と話した。また、ココネットの担当者は「当社は買い物弱者の支援事業から始まった会社で、普段は主に食品宅配を手掛けているが、必要な人に必要なものを届けることに変わりはない」と話す。経済活動の停滞によって一部で物流車両が余り始めているなか、物流事業者にも「今できること」があるのかもしれない。