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ブラザー、浪江町で水素柱上パイプライン輸送実験

2020年8月6日 (木)

サービス・商品ブラザー工業は6日、巴商会(東京都大田区)、横浜国立大学とともに、福島県浪江町から水素エネルギー活用促進に向けた水素柱上パイプライン輸送実証事業を受託し、契約を交わしたと発表した。

同社は2018年から水素を燃料とする燃料電池の開発に取り組んでおり、これまでの知見を活かしながら巴商会、横国大との共同企業体を組んで実証事業を進め、水素柱上パイプラインのシステム提案を行う。

▲実証事業に使われる燃料電池「BFC4-5000-DC380V」(出所:ブラザー工業)

水素柱上パイプラインは、水素を安全で安価に輸送するための最適な仕組みとして考案されたもので、上空にパイプラインを敷設して低圧の水素を送ることにより、災害などで配管が破断した際も、空気より軽い水素は生活圏より上で拡散されるため、爆発に至る可能性が低く、生活に影響が及ぶリスクは低いとされている。

地中に配管すると配管が破断した際に水素の漏出を感知するための付臭が必要となるが、水素柱上パイプラインにはその必要がない上、安価に輸送インフラを構築できるとみられる。

実証事業では、旧浪江中学校の敷地を使用して全長400メートルのパイプラインを地上5メートルに敷設し、ブラザーの燃料電池を使って発電安定性確認とリスクアセスメントを実施。安定稼働と安全対策に必要な情報を確かめた上で、実使用に向けた法的な課題を検討する。

浪江町では、震災復興計画の一つとして新規産業を創出するための「RE100産業団地」の実現に向けた計画があり、世界最大級の水素製造能力を備える「福島水素エネルギー研究フィールド」で作られた地産水素を水素柱上パイプラインで輸送し、燃料電池に供給することを視野に入れている。

ブラザーの担当者は「水素柱状パイプライン輸送実証事業に参加することで、震災復興の一助になれば」と話している。