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パールラインの破産手続き開始決定、改善見通せず

2021年4月6日 (火)

M&A帝国データバンクによると、沿海貨物海運業などを手がけるパールライン(宮城県塩竈市)は3月24日、仙台地裁で破産手続きの開始決定を受けた。負債は23億6000万円。民事再生手続き中だったが、業績改善の見通しが立たないとして2月25日に民事再生手続きの廃止が決まり、今回の破産手続き開始に至った。

同社は1979年1月創業、85年11月に法人改組した沿海貨物海運、土木工事業者。熊本県上天草市で創業され、当初から船体メーカーの船体輸送などを手がけていたが、一時期休業し、2004年10月に事業を再開。

青森支店(青森県六か所村)や宮城支店(宮城県塩竈市)を開設し、東日本大震災以降、東北地区を営業エリアとする港湾工事や災害復旧などの海洋土木工事に本格的に進出。クレーン付船舶を5隻保有し、リースを含めて常時大小70隻の船舶を使用できる設備を強みとしていた。

近年は、青森県から宮城県にかけて海岸沿いのがれき処理などの災害復旧工事、港湾工事など東日本大震災関連工事を主体に、14年8月期には年商37億4300万円を計上していたが、船舶などの設備投資に加え、積極的な事業展開に伴う金融債務も膨らみ、収益は圧迫。

最近は復興需要の収束を背景に一時期に比べると受注が減少傾向を辿り、19年8月期の年商は20億9800万円にまで減少、減価償却費や人手不足に伴う労務費、資材高などが重荷となり、同期で大幅な債務超過に陥っていた。

この間、宮城支店が実質的な本店となっていたが、経営環境は改善せず資金繰りはひっ迫。19年夏頃には取引先に対する支払遅延が相次ぐなど対外信用は失墜、資金調達は限界に達し、19年9月18日に仙台地裁へ民事再生法の適用を申請していた。その後も業績改善の見通しが立たず、今回の措置となった。