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温度センサーで土砂災害時の地質調査効率化実験

2021年10月8日 (金)

▲多点温度センサーのの「サンサーモ」(出所:三陽電工)

サービス・商品特殊電線・ケーブルメーカーの三陽電工(埼玉県戸田市)は7日、建築・防災向けの各種地質調査を行う奥山ボーリング(秋田県横手市)、電池製造コンサルティングの飯豊電池研究所(山形県飯豊町)の2社と共同で、三陽電工が開発した多点温度センサー「サンサーモ」を活用した土砂災害に関する地質調査の効率化にむけた共同実験を開始すると発表した。

サンサーモは、最長300メートルまで伸ばせるケーブル形状としながら直径は5ミリメートル、1本あたり最大40ポイントの測定箇所を自由に設定できる。グリーンランド氷河における長期温度観測やスーパーコンピューター設置データセンター内の空間温度監視、農業(植物工場、ビニルハウス)、水産業(学術調査、養殖)、工業(モーター駆動部)、物流業(倉庫、冷蔵トラック)など活用シーンが増えている。

地すべりの土砂災害に関する地質調査手法の一つとして地下水検層がある。ボーリング観測孔内(以下、観測孔と記載)の地下水温度を深度毎に計測することで、地盤の地下水流動を調査し、災害の要因となる部位を見つけ出し、対策工事の検討など、防災に役立てる。

従来の地下水検層では、センサーを観測孔内に挿入して計測するが、測点が1カ所である為に測定部分を上下に移動させながらの計測となり、観測孔内の地下水流動に乱れが生じる問題があった。複数点を同時に計測できるサンサーモは、温度検層におけるその問題を解消できるほか、軽量・小型という利点から山間地の地すべり災害現場において、調査時の労働力の軽減が実現できる。

豪雨や豪雪などの気象環境に適応させるため、東北の地すべり地での耐久性を確認しながら、地下水温度の長期データを記録する試験を実施。季節変化に伴う地下水温度の変化から、地下水流動深度の変化などの分析も期待できる。